「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説3 小説 『短文集』 3

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短文集に掲載している「聖剣伝説3」の話が30個以上になりましたので、10個分纏めてこちらに掲載します。
尚、此処に記載する話は『短文集』にあるものを一部修正したものです。



参照
『短文集』11-15




内容の系統
『Insane empress』 5











『短文集』11

『ペット』
「イザベラ、おいで」
主人の呼びかけに嬉々とその胸に飛び込んだ。
猫にしては立体的で端整な顔を上げて、幼子の顔を見つめながらニャアと鳴いて頬を舐める。
「どうしたの? 今日はいつになく甘えてくるね」
嬉しそうに笑う主人の声に合わせてニャンと鳴くと、幼子は目を真ん丸くして笑い声を上げた。
主人の胸に顔を尾埋めて、心地よく喉を鳴らす。
何よりも安心できる大好きな匂いを嗅ぎながら、胸一杯の幸せを噛み締めていた。
美獣 (妖魔転生前で、猫時代)

『妖魔の望み』
気高き獅子の髪を持つ騎士の叫びに、妖魔は端整な顔を歪めた。
瞬く間に動揺を消し去り、即座に冷徹な仮面を被りなおす。
それは瞬きにも満たぬ刹那の時で、騎士は妖魔の感情の乱れを認めることは出来なかった。
「大した理由ではない。 ……実に愚かな、復讐だ」
目を瞠り、息を呑む騎士の喉元に煌く刃を突きつけて、妖魔は薄く嗤った。
『Insane empress』 デュラン (妖魔との対峙)


『短文集』12

『狂女王』
常人ならば耐えられぬ凄惨な光景を映し込む藍色の瞳は冷たい輝きを放っていた。
やがて、女王は自然と口元を綻ばせて…。
「リース様」
耳障りな家臣の首を号令一つで跳ね飛ばせば、側仕えのアマゾネスが”諫言”しようとする。
――ああ、煩いわ。
嘗ては姉と慕った女だが、親愛と敬慕は”あの時”に全て消え失せた。
今では憎悪と悲哀、憤怒しかない。
この女も復讐対象ではあるが、今はその時ではないから手を下さないだけに過ぎなかった。
瞳の奥底に燃え滾る行き場のない黒い炎を閉じ込めて、ライザを見据える。
その瞳は全身を凍らせるほどの冷たい輝きを放っていた。
「ライザ」
冷淡でかつ艶やかな声に、歴戦の女戦士の体が震えた。
『Insane empress』 リース+ライザ (官吏の首狩り時期)

『ターニングポイント』
誰よりも愛しい人の訃報。
あまりにも遅く伝えられたそれが齎されたあの時、私の人としての心は死に絶えた。
魂切るかのごとき慟哭の叫びを果てなく上げ続けた。
喉が潰れ、涙が枯れ果て、血涙すら出なくなっても留まる事を知らず。
見兼ねた者達が”狂った女王”を取り押さえようとするのを殺しながら、声なき声を叫び続けた。
そんな時、空間の歪みと共に現れたのは見る者に畏怖すら与えるこの世ならざる美貌の男女。
彼らが人間でなく、妖魔だという事は最初から分かっていた。
それでも”復讐”のために彼らの手を取る事を選んだのは、誰でもなく私自身の意志。
「お前の望みを叶えよう」
私の大切な友人達は、その手助けをしただけ。
『Insane empress』 リース (妖魔との出会いであり、”人間”を捨てたとき)


『短文集』13

『発露の一端』
漆黒のドレスを纏った冷酷無慈悲な麗しき女王は供を連れずに、闇に覆われた牢獄に囚われたナバール首領の前に姿を現した。
国と親の仇を前にしても、亡国の民の命運を担う彼に逆らう事は許されず。
矜持の高い眼光を憎悪と怨恨に漲らせながらも、頭を下げることしか出来なかった。
「ナバール首領、イーグル」
冷淡で艶やかな笑みを伴って、感情の宿らぬ無機質な声で少年を呼ぶ。
しかし少年は女王の望みのままに、”醜い顔”を上げる事はなかった。
魔女の顔など見たくもないと言わんばかりに、顔を伏せたまま拒絶する姿に、女王の胸に去来した想いは――何か。
我に返った時には逃亡を防ぐために手足の腱を切られた少年の顎に指をあて、薄い唇を啄ばんでいた。
驚愕した少年は渾身の力を篭め、女王の舌に噛みつき、嫌悪も露わに血を吐き捨てて、蔑視の眼差しで女を睨む。
口元に流れ出す血を拭い去った女王は、少年の姿など目に入らぬとばかりに、足早に立ち去った。
階段を駆け上りながら、そっと唇を指でなぞる。
――少年の唇は、ホークアイと同じだった。
『Insane empress』 リース (不意に見つけた愛しい人の面影)


『短文集』14

『それは、永遠に非ず』
「ずっと一緒にいる」
待ち望んだ言葉に高鳴る胸とは裏腹に、心は熱を失い凍えていく。
ずっと、一緒に。
誠実なケヴィンは、必ずその約束を守ってくれる。
でも、それは「私の」”ずっと”じゃない。
ケヴィン・シャルロット (寿命の違い)

『二人の女』
精一杯の社交儀礼の笑顔を貼り付け、二人の女性が円卓を挟んで向かい合っていた。
豪奢な金糸の髪と蒼穹の瞳の洗礼された麗しき女性と、透き通る藍玉の髪に黒曜石の瞳の華やかで愛らしい女性。
表向きは美女達による朗らかな談笑だが、水面下で繰り広げられるのは、女同士の熾烈な戦争そのもの。
見る者が見れば恐怖に震え上がる空気を漂わせて、激しい火花を散らし拮抗させながらも、表面上は紅茶を嗜みつつ穏やかな時間が過ぎてゆく。
リース+ジェシカ (ホークアイを巡る譲れぬ争い)

『白百合が告げるは、解放と祝福』
――幸せなお嫁さんにしてね。
それは必ず叶えられるはずだった許婚との、幼い頃の思い出。
結局是という答えはついに放たれなかったわねと自嘲した。
そっと指先で潤んだ目元を拭ってから、純白の百合の花束から一輪を丁寧に摘んだ。
一輪の百合を相手に手渡す。
それは大昔から伝わるナバールでの、許婚や恋人との訣別の儀式。
――女は強く、潔くあるべき。
母の残した美学と百合を胸に、毅然と顔を上げて颯爽と歩く。
愛しい人の幸せのために、自ら身を引く。
それも、一つの愛の形だと信じて。
ジェシカ (ホークアイ・リース前提で、彼の幸せのために婚約解消するジェシカ)

『異文化』
それを差し出された瞬間、冷静沈着なホークアイの思考は完全に停止した。
「……嘘、だろ?」
数多の障害を乗り越えて漸く恋人同士になれた翌日に、突如別れを切り出されるなんて。
あまりにも残酷すぎる。
目頭が熱くなり、堪え切れずに瞼を伏せるが、こんな時ですら涙は出なかった。
「嘘じゃありません!! これが私の……あなたへの想いです」
恥らうように頬を赤らめて、上目遣いでホークアイを窺って、唖然とした。
精一杯の勇気を振り絞って愛を告白したのに、ホークアイは何故かこの世の終わりのような悲壮な顔をしていた。
どうしたのだろうと訝しみながらも、暫しの時間を置いてホークアイが重い口を開く。
「………リース…。 それが君の気持ちなら……」
「愛してます」 「別れよう」
同時に放たれた全く噛み合わぬ言葉に、お互いが何?と言わんばかりに顔を見合わせた。
リースが差し出したのは一輪の純白の百合。
ナバールでは男女の訣別に、ローラントではプロポーズに用いられる。
国による花の意味の違いを、二人とも知らなかった。
ホークアイ・リース (国によって違う、花の意味。ナバールでは三行半以上らしい)


『短文集』15

『犠牲の人形』
――仲のよい親子であらせられます。
家臣達にそう言われる度、表情を曇らせることなく笑顔を貼り付けていた。
そう評されてはいるが、常に母上からは冷ややかな嫌悪と憎悪を宿した眼差しを向けられているのに、誰が愛されていると思うのか。
人目さえなければ、母上は私のことなど見向きもしないというのに。
期待しても無駄だと分かっているけれど、知りたい。
何故母上が私と父上を嫌い抜くのか。愛情の欠片すらも与えてくれないのか。
せめて、それだけでも教えて欲しい。
そうでなければ、あまりにも……。
『Insane empress』 オリキャラ (女王の娘)
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