「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説3 小説 『鷲と双子』 1

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注意
オリジナル設定があります。














幼子の甲高い鳴き声が部屋中に響き渡る。
腹の底から出される大音量は、物を壊しかねない衝撃を伴って側にいた子供二人に襲い掛かっていた。
子供二人の顔立ちは瓜二つで、唯一の違いは着ている服と神を結わえているか否かというのみ。
明らかに双子と見受けられる子供は、耳を抑えるのに精一杯で幼子を泣き止ます余裕を持てずにいた。
「ちょ、イーグル」
「うわあぁぁぁあぁぁん!!!」
耐えかねた一人が幼子に呼びかけるが、更に幼子の癇癪が激しくなっただけだった。
困りきった表情で子供二人は互いに視線を交し合って、子供を見下ろす。
―何故、こんなことになってしまったのか?
視線の交わりで伝え合った意図は、後悔の一言だけ。
本当は二歳の誕生日プレゼントとして、姉と義兄の二人がイーグルをサルタンに連れて行く予定だったのだ。
しかし事情が変わって、幼子の彼を連れて行くことは出来なくなってしまった。
何日も前から楽しみにしていた行事を取り止められて、酷く落ち込んでいたが、先程まではこれほど酷い癇癪を起こしていなかった。
手に負えなくなったのは、幼子同士なのに比翼の鳥のように仲睦まじい許婚の元を訪れてからだ。
今朝から風邪を引いたらしい許婚の親が、イーグルに風邪を移してはならないという理由で会う事を許さなかった。
風邪は万病の元で、些細な体調の崩れから悪化する事もある。
娘の許婚に病気を移してはいけないという、親切心もあった。
しかし、幼い子供にとっては拒絶されたような印象を与えたのだろう。
双子が気に病むほど、帰るまで終始俯きっぱなしだった。

姉と義兄の約束の反故と、許婚に会えない寂しさ。
それらを我慢できたのは、自室に入るまでだけだった。

「ホラ、イーグル。兄ちゃん達が一緒に遊んでやるから、泣き止んでくれよ~」
「ビル、ベン、イヤアァーー!! ファルとサンがいいのー!!」
「こらっ!!」
あんまりな言いように肩上で髪を切り揃えた弟のベンが思わず大声を上げた。
兄の怒声にイーグルが眼を丸くした後、一泊の間を置いて、鼻の詰まった声にならぬ叫びを上げる。
わんわんと泣き喚く幼い異父弟に、双子は泣きそうな顔でお互いを見合った。

ビル、ベンとイーグル。彼らは異父兄弟だ。
フレイムカーンの前妻が亡くなって間もなくに、夫を亡くしたばかりの今の妻と再婚した。
血の存続を第一とするナバールでは、伴侶をなくした者同士の再婚は珍しくないことだ。
特に子連れの場合だと、子供を作る能力があると証明されているので尚よかった。

忙しく中々イーグルに構えない父母や、幼くて面倒の見切れない異父兄よりも、異母姉と、義理の兄が子守をする事が多い。
そのため家族の中で彼が一番に懐いているのが、姉と義兄の二人だった。
それ以外にもイーグルが異父兄達をよく思っていない理由がある。
実母と姉達の確執だ。
当初から彼らの母親は、フレイムカーンの養子であるサンドアローを快く思っていなかった。
彼はナバール内でも何かと微妙な立場であったし、血を冒涜しているような言動を快く思っていない人間もいる。
母親もそんな一人で、言葉として出せない代わりに終始徹底して彼を無視していた。
そんな義理の母とファルコンが円滑な関係を築けるわけもなく、その場にいるだけで胃が痛くなるような刺々しい空気が充満していた。
母の影響でビルとベンも義理の姉達の事を避けている。
初めは当人達で解決すべしとして、不干渉を貫いていたフレイムカーンも、今では養子大事さに異母姉の方に着いていた。
その証拠に子供が出来たと判明してから、現在に至るまで妻に触れることはなかった。
高い矜持を傷つけられた母親は憤慨し、その姿を間近で見ているビル達とファルコン達の亀裂は更に深まっている。

そんな歪な家族関係ながらも、”家族”を維持していられるのは、イーグルという繋がりのおかげだ。




言い訳
ちなみに髪を結わえているのが兄のビルで、肩上で切り揃えているのが弟のベンです。

彼らの年齢設定ですが、
ビル、ベンとイーグル 3歳差。
イーグルとホークアイ 5歳差。
ホークアイとジェシカ 5歳差。
という設定です。

ビルベンとイーグル兄妹の異父兄弟設定は以前から考えていたもので、漸く日の目を見せられました。


後妻とフレイムカーンの不仲ですが、こんなのもありかなと考えながら書きました。
(HOMの話を考えているとあまりにも後妻の影が薄いので、こうなりました)
フレイムカーンがホークアイを引き取った後に、妻と和解した頃ジェシカが生まれたとしたら、兄妹の十歳以上の年齢差も説明がつきます。
こんな時代を経験しているからこそ、ビルとベンにとってジェシカは天使のような存在だったでしょう。
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