短文

『短文集』16

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『嗜好の違い』
「何故”これ”を作ろうと思ったんだ?」
「この前も言ったとおり、子供のための習慣は多い方がいいだろう」
作りかけの物体を指し示しながら尋ねたゼファーに、シルフが手を動かしながら答えた。
――以降ゼファーが気で読み取ったシルフの心から推察した本音――
『こんなに可愛いのに、このまま廃れさせるなんてとんでもない!!
黙って見過ごすなんて、私には到底出来ない!!』
――推察終了――
シルフは見事に本音を隠しているが、彼女の気は全てを物語っていた。
視線を落として、お世辞にも上手とはいえない自作の絵を見た後に、落書きもどきから描き直したシルフの絵を見る。
よくこんな絵から、ここまで精密に再現できるものだと、密かに感動を覚えたものだ。
―可愛い? ただの帽子じゃないか。
彼にとっては風習の一つであり、嫌だけど仕方ないからと我慢していた節すらある代物だ。
それを思い出話の一端として話しただけで、猫の帽子を作ろうとなどと微塵も思っていなかった。
すっかり乗り気なシルフを前に、止めろと言えずに軽い気持ちで頷いてしまったけれど。
―これの、どこがいいんだ?
それを純粋にいいというシルフとフレイムカーンを正直理解できなかった。
聖剣伝説HOM ゼファー+シルフ (オリキャラ) (猫の帽子に纏わる話) 2013/6/17

『染み付いた習性』
「花火、綺麗ね」
”母”の言葉に、家族の誰にも似ていない少女は何処かぎこちない笑顔で頷いた。
快活な娘の常にない様子にも少しの疑問を抱くことなく花火を見入る母に、少女が空から視線を逸らす。
夜空を幻想的に華やかに彩る光の花。
それが、少女の知る花火だった。
夢の一つを叶えられても喜びはなく、あるのは恐怖のみ。
―怖い、嫌い。
絵画だった頃の習性は未だ少女の魂に深く根ざしている。
初めての花火は、メアリーにとって美しくも恐ろしい死の花だった。
Ib メアリー (美術品に火は致命的) 2013/6/22

『Sleeping』
深い眠りに着いている青年の頬に、手が添えられる。
忍者の訓練を受けてきた彼は、他人が側にいるだけで目覚めるほど、眠りは浅い。
なのにこうして触れても、瞼を開かないまま。
規則正しく動く胸が、唯一生きている事を証明していた。
少女の手が青年の頬を包み込み、身を屈めて額同士を合わせる。
「……ホークアイ……」
震える声で呼びかけても、何も返らない。
目覚めぬ青年に少女の目が潤み、閉ざされた瞼と共に褐色の頬に雫が零れ落ちた。
聖剣伝説 リース・ホークアイ (目覚めることのない眠り) 2013/7/16

『黄金の民族』
それは、弟を浚った者達が持っていたもの。
それは、恋慕よりも激しい執着を抱く私の仲間のもの。
月や星の光を宿した透き通る神秘的な色。
淡い金の瞳。
それは、戦乙女にとってのナバールの象徴だった。
聖剣伝説3 リース(→ホークアイ) (皆ではないけれど、民族の特徴の一つ) 2013/7/16

『鼻血体質の中年騎士はどうですか?』
注意
オリジナル設定があります。
ジェマのキャラがぶっ壊れてます。

ぶはぁっ。
凄まじい音を立てて勢いよく噴出した鼻血と、仰向けに倒れるジェマをルカ・ルサが呆れきって蔑みすら伴った眼差しで見下ろす。
「…ロリコンめ」
心臓に深々と突き刺さる眼差しと言葉に、ジェマの残り少ないHPが一桁になった。
―恋し愛する者を前にして、平常心を保てぬこの心。年若いお前には分からぬかも知れぬ。
だからこそ、言わねばならぬことがある。
「………わしは、ロリコンではない……」
「ホウ」
凍える毒を孕んだ冷ややかな声で返されたが、めげずに続けた。
「俺は……ルカコンだ」
最後の力を振り絞って誤解を解くと、安堵したのか意識が底なしに堕ちてゆく…。

白目を剥いて意識を失ったジェマに少女が溜息をつくと、その姿が変わってゆく。
腰まで流れる艶やかな藍玉の髪は漆黒の髪へ。宝石のようと賛美される紅の瞳は黒曜石の瞳へ。太陽を知らぬ白い肌は、健康的な肌色へ。
神秘的な美しき巫女から、端整な美少年の忍びへと。
瞬く間に変化すると、未だ鼻血を流し続けるジェマの姿に頭痛を催されて額に手を当てた。
聖剣伝説2 ジェマ+クロウ(オリキャラ) (ジェマ→ルカ前提で、鼻血体質の対策兼治療の一幕) 2013/7/16

『かの騎士の秘密』
「ハハハッ! ジェマも剣を落とすってことだな!」
気安い様子で朗らかに話しながらベッドの脇の椅子に腰掛けた。
公私共に親しい友人であるセルゲイの物言いに、乾いた笑顔を貼り付けて複雑な心境になる。
本当のことなど死んでも言えないのでクロウに適当な理由を伝えてもらったが、それは剣士としてのジェマからすれば顔を顰めたくなる内容だ。
しかし内外の者達に一番納得してもらえる内容でもあった。
例え剣士としてのプライドが少々傷つけられても、ジェマ本人の名誉ためには大したことではない。
……どうして、真実を誰かに言えようものか。
初恋の女性への鼻血対策兼治療のために友人の忍びに変化して色々と協力してもらった挙句、鼻血の海に身を沈めたことを。
それで死の淵を彷徨ったことは、誰にも知られたくない黒歴史であり、墓場まで持っていく極秘事項だった。
聖剣伝説2 ジェマ+セルゲイ (『鼻血体質の中年騎士はどうですか?』の後日談) 2013/7/28

『誘惑』
潤む藍玉の瞳に魅入られたように、言葉が出なかった。
妻以の女性に想いを寄せる自己嫌悪と、彼女の恋慕には決して応じられない罪悪感を抱く。
「ランディ…」
名前を呼ばれて我に返った時にはクリスの手が彼の頬を優しく包み込んでいた。
しかし鼻先が触れ合う前に彼女の手は優しく下ろされて、言い聞かせるように首を振られた。
初恋の拒絶に女性は息を呑んで、絶望と悲哀に瞳を揺らす。
懸命に涙を堪えて、ランディに見られまいと俯き背を向けるクリスに謝ることしか出来なかった。
聖剣伝説2 ランディ・クリス (EDの数年後でランプリ前提のクリス→ランディ)2013/7/28

『相似』
少年が虫の息となった国を、命の危機に晒され続ける仲間を救うために女王の軍門に投降したあの時。
女王の関心は愛しい人の妻の座に就いた恋敵ではなく、その隣にいるナバールの若き首領のみに注がれた。
その目に映っていたのは母と酷似した少年でなく、嘗ての恋人。
集団の狂気に晒された仲間を助けるため、誇り高い身でありながら躊躇いなく地に頭をつけたあの時の姿。
似ているところなど何処にもないのに、血の繋がりを感じさせた。
それこそが、最初に見つけたあの人と彼の類似点だ。
聖剣伝説3 リース (『Insane empress』での二人の出会い) 2013/7/28

『たった一人の聴衆』
少し躊躇いがちにゼファーが謳い始めた。
シルフには音感や音楽の知識は殆どないが、ゼファーの歌には何処か人を惹きつけるものがある。
聴いたこともない言語で内容は全く分からないが、それでも声の感じはどこか物悲しい印象を与えた。
じっと耳を済ませて聞き入る。
その最中で彼の眦に光るものを見つけたが、少しの間を置いて、目を閉ざした。
歌が終わるとゼファーがホッと息をつく。
心の篭った拍手に彼ははにかむ様な微笑を浮かべると、シルフが頬を紅潮させて満面の笑顔を返した。
聖剣伝説HOM ゼファー+シルフ (オリキャラ) (なき故郷の歌で感傷に浸る) 2013/7/28

『カルチャーショック』
ジェマとロデックは思わず声を失った。
金髪を短く切り落としているだけでなく、男の装いで剣を帯びてその扱いにも慣れている様子は彼らの常識からすれば異常だ。
恭しい素振りやお辞儀もなく、女のしとやかさは微塵もない代わりに男のように大胆に彼らと向き合っていた。
世界各地を旅するジェマでも驚くのだから、タスマニカから滅多に出ないロデックには理解不能の狂人の域だろう。
しかしクロウはごく自然に差し出された手を取り、力強く握手を交わしてから、動揺の真っ只中にあるジェマ達の代わりに自己紹介をしあった。
それを見て新たなるレジスタンスのリーダの態度は、東国系列の国々では驚くに値しないのだとわかって、ホッと息を吐く。
聖剣伝説2 ジェマ+α (数年前のジェマとクリスの初対面時) 2013/7/28
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