「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説HOM 『短文集』 2

 ←『短文集』16 →聖剣伝説HOM 未完 『黒い兎』
短文集に掲載している「聖剣伝説HOM」の話が20個以上になりましたので、その分を纏めてこちらに掲載します。
尚、此処に掲載する話は『短文集』にあるものを一部修正したものです。


参照
『短文集』9~12、14~16
















『短文集』9

『父子の本音』
「赤ちゃん、お兄ちゃんに似ていたらいいね」
ポツリと呟かれた幼子の言葉に、珍しいこともあるものだと思った。
イーグルは年の離れた異母姉をよく慕っているのに。
「お父さんは、どう? お兄ちゃんに似ていて欲しいよね?」
「…儂か?」
真っ直ぐな眼差しで問われて、一瞬言葉に詰まる。
無事に生まれてくれば、どちらに似ていても構わない。
「儂のことよりも、お前はどうなんだ?」
「お姉ちゃんは怒ると怖いけれど、お兄ちゃんは美人で優しい。
だからお兄ちゃんそっくりがいい」
姉のことは大好きだ。でもそれと同じく兄のことも大好きだ。
姉が二人になるのは……正直嫌だった。
フレイムカーンが息子の頭に優しく手を置く。
「……そうだな。あいつは些か気の強いところがあるから、少しくらい中和されていて欲しいな。
儂個人としては、父方譲りならばこの上ない満足だ」
初恋の男女と、養子の息子を思い浮かべて、頬を緩めた。
「だよね!!」
幼子が目を輝かせて、父親の顔を見上げる。
――死角に立つ人物の存在に、父子は未だ気づかず――
フレイムカーン+イーグル (ホークアイ誕生前)


『短文集』10

『懐中時計』
寸分の狂いを知らぬ針は、規則正しく時を刻み続けている。

ゼファーが磨き抜かれた光沢を放つ盤面をそっと撫でる。
幼子の時から共にしている大切な懐中時計。
思い悩むことがあれば、時計を手に一人で過ごすのが習慣となっていた。
「ゼファー」
背後から聞こえてきた想う女性の声に、青年が振り返った。
深紅の瞳に驚きを宿しながら見ている中、女性は彼の隣に座る。
月と星の明かりが照らす広大な砂漠を見下ろせる一等地。
砂漠を見下ろす彼女の金の瞳は、まるで夜空に輝く月だった。
「…どうして? 今日は……」
「ここが気に入ったのか?」
最後まで言わせぬとシルフが言葉を遮り、笑った。
「ここから見る風景が、一番好きなんだ。
だから、気に入ってくれたら嬉しいな」
「ああ、砂漠は時が経ても変わらないから……懐かしい」
瞼を閉じれば蘇る記憶に自嘲すると、懐中時計を隠すように懐に戻す。
それを目敏く見たシルフが、尋ねた。
「それは?」
「……両親の形見だ」
これしか残っていないのだと目を伏せた青年を見ていられずに、シルフがふと視線を逸らした。
ゼファー+シルフ (オリキャラ) (連作の一部)

『犠牲にしたもの』
「具合はどうだ?」
妻の優しい問いかけに、何処か儚げに微笑んだ。
「これくらい大丈夫だよ」
だが妻は顔を曇らせた後、険しい面持ちで真実を射抜くように真っ直ぐ夫を見つめた。
「嘘吐き」
夫は僅かに瞠目して、目を伏せる。
ファルコンがハンドアローの頬に手を添えて、目線を合わせた。
「お前がその笑みを浮かべる時は、何かを隠している証拠だ。
安心させるために笑って誤魔化されても、余計に不安を駆り立てるだけなんだ」
暫しの沈黙の後、彼は静かに頷いた。
「……わかったよ」
極力心配かけたくなかったが、いずれわかることだ。
「利き腕の感覚が鈍くて、中々動かせないんだ。
気を使えば、日常生活に支障はないけれど……もう、戦えないだろうね」
感情を押し殺したような淡々とした声に、ファルコンが愕然として、静かに手を放した。
自らを庇って大怪我を負った、夫への自責の念に駆られて。
サンドアロー+ファルコン (製作中の話の一部)


『短文集』11

『たった一つの形見』
ゼファーが刀の手入れをしている時に、彼の手の中にある物に目を向ける。
それは刃毀れ一つなく磨きぬかれた、見事な漆黒の刃だった。
「立派なナバール刀だな」
側近くから聞こえてきた声に、ゼファーが視線を上げた。
「ナバール刀? 東刀だろう?」
「東刀? そんな名称は知らないが、それは正真正銘のナバール刀だろ」
忍者として刀の目利きには自信があり、彼の持つ刀は今まで彼女が見たこともない見事なものだ。
ただ、何故漆黒色なのかが気になったけれど。
「何処で手に入れたんだ?」
「……師匠から譲り受けた物だから」
ゼファーが鋭い切っ先を宿す刀身を翳す。
漆黒の刃は窓から差し込む強烈な砂漠の日差しを浴びても、光を反射することなく全てを飲み込んでいた。
深紅の瞳が懐かしく切なげな色合いを浮かべるのを見て、シルフが悟った。
「……大切な人だったんだな」
「ああ……。大切な、命の恩人だった」
ゼファー+シルフ (オリキャラ) (三人目の師匠の形見)


『短文集』12

『異教』
注意
オリジナル設定があります。

「遠い昔は光と闇の司祭という役職は存在せず、代わりにマナの司祭という今で言う光と闇を統括した役職があったのですよ」
いつの頃からか、文献ですらも失われた遥か昔の事柄を己が知識の如く語り始めた友人を見返す。
フフフと口元を歪ませて笑った友人は、まるで別人のようだった。
「幾ら崇め奉られようとも、本来の教義からすれば我々も”異教徒”なのですよ、”光の司祭”殿」
仄暗く、負の色合いの強い光を放つ瞳を持つこの男は……誰だ?
ベルガー+光の司祭 (HOM後のベルガー豹変前で、ウェンデルでの異教徒弾圧後) 

『贈り物』
「いい機会だし、お前にやるよ」
笑顔と共に渡された東刀に、困惑した。
幾ら飾り物と化しているとはいえ、忍びの誇りとされる東刀をいとも簡単に譲るのはいかがなものか。
ゼファーの心境を気で読み取ったのだろう。年を経て渋みを増した美貌で皮肉めいた笑みを浮かべると、飄々と笑い飛ばした。
はぁ、と生返事を返しながらも、命の恩人である師匠が何を考えているのか、全く理解できなかった。
ゼファー (オリキャラ) (東刀を貰った時のエピソード)


『短文集』14

『骨肉の争い』
注意
ファルコンとサンドアローの性別を変えてます。

鬼気迫る顔で対峙し合う両者の間に飛び散る、殺気に満ちた火花。
憎悪と憤怒、それらを覆う敵意の渦は室内を激しく巻き上げて、嵐という形になって近づこうとする者を悉く跳ね除ける。
一方が隙を見せればすぐさま喉元を切り裂かれるような一触即発の空気が父子間に張り詰めていた。
お世辞にも決して仲がいいとは言えない二人の騒乱の根源は、ある一人の女性。
ナバール一美しいと評判の、天女のような美貌を備えたサンドラ。
フレイムカーンからすれば大切な人から託された掌中の珠であり、ファルコンからすれば理想の姉であり、初恋の女性だ。
年頃になった養女と再婚したい親父と、そんな事断じて許すものか、結婚するのは自分だと頑として主張する息子。
当の本人の思いを置き去りにしたまま恋焦がれる女性を巡って、父子の間で長年血で血を洗う争いが数えるのも馬鹿らしいほど繰り広げられていた。
フレイムカーン+ファルコン (『とある話につき、要注意』の、ナバール父子間の争い話の1シーン) 

『勝機ある者、足手纏い、そして笑い鮫』
ガウザーが、リチャードと彼の補佐と守りに奔走するロキの姿を白眼視で眺める。
実力を省みず、己と部下の命を危険に晒すなど、上に立つ者のする事ではない。
一国の王子としての自覚が足りないと吐き捨てれば、ユリエルが肩を竦めた。
「あなたも人のことは言えませんよ?」
「俺は自分の実力はよく分かっているし、あんな無謀な真似はしない」
力社会の獣人達を束ねる王ともなれば、チェスのクイーンのような存在でなければならない。
奥に座して守られるだけのキングなど、話にならないのだ。
ましてや力ないキングが表に出て戦おうものならば、守りに入る者達は多大な負担を強いられる。
ならば、引っ込んでいてくれればまだ戦いやすい。
「……チェスで例えればあなたはクイーンで、リチャード王子はキングですか。
それならば、引っ込んでいて欲しいという気持ちはよく分かりますね」
心を読み取ったような発言に、ガウザーがギョッとユリエルを見て、少し退いた。
「ああ、誤解しているようですが……。ガウザー殿は比較的分かりやすい方なので」
そう答えられても、到底信じられないものがあった。
ガウザー+ユリエル (とある没話)


『短文集』15

『音楽師』
注意
オリジナル設定があります。

軽やかな鼻歌を口ずさみながら、愛用のラッパを綺麗に磨く。
安物だが、質のいいラッパをテケリはとても気に入っていた。
それは無力な子供が軍勢相手に渡り合うために必要不可欠な道具であり、彼の武器。
いかなる魔物であっても自由自在に操る指揮棒だった。
本当は思念波だけで十分だが、音波に乗せたほうが効率よく広範囲に渡って魔物を操れるのだ。
人為的に魔物を操る術はどの国も有しているが、それを個人で、ましてや意のままに御する力など皆無。
脅威的な”不可能”を幼い子供が容易く行使できるのは、その身に流れる血ゆえ。
森の民という、遥か古に途絶えた血の力によるものだ。
テケリ (ナイトソウルズのMOBの指揮官及び管理人)


『短文集』16

『嗜好の違い』
「何故”これ”を作ろうと思ったんだ?」
「この前も言ったとおり、子供のための習慣は多い方がいいだろう」
作りかけの物体を指し示しながら尋ねたゼファーに、シルフが手を動かしながら答えた。
――ゼファーが気で読み取ったシルフの心から推察した本音――
『こんなに可愛いのに、このまま廃れさせるなんてとんでもない!!
黙って見過ごすなんて、私には到底出来ない!!』
――推察終了――
シルフは見事に本音を隠しているが、彼女の気は全てを物語っていた。
視線を落として、お世辞にも上手とはいえない自作の絵を見た後に、落書きもどきから描き直したシルフの絵を見る。
よくこんな絵から、ここまで精密に再現できるものだと、密かに感動を覚えたものだ。
―可愛い? ただの帽子じゃないか。
彼にとっては風習の一つであり、嫌だけど仕方ないからと我慢していた節すらある代物だ。
それを思い出話の一端として話しただけで、猫の帽子を作ろうとなどと微塵も思っていなかった。
すっかり乗り気なシルフを前に、止めろと言えずに軽い気持ちで頷いてしまったけれど。
―これの、どこがいいんだ?
それを純粋にいいというシルフとフレイムカーンを正直理解できなかった。
聖剣伝説HOM ゼファー+シルフ (オリキャラ) (猫の帽子に纏わる話)
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