「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説HOM 小説 『騎士』

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注意
オリジナル設定があります。
ロキの出身地を捏造しています。
後、騎士の叙任の方法などを思いっきり変えてます。
















高らかと鳴り響くラッパの音色が寒空を切り裂く。
拍手の嵐で迎えられたリチャード王子が期待を篭めて壇上から会場をさっと見渡したが、失望と落胆の息を吐いた。
会場には多くの騎士達が立ち並んでいたが、所々抜けている所があり、隙間が目立つ。
中でも前面に並ぶべき騎士達の姿が皆無であることはリチャードを哀しませた。
これを機会として騎士の地位をフォルセナ人の特権から門扉を広く開け放とうという企みもあった。なのに理想を最初の一歩から否定されれば、幾ら能天気といわれるリチャードでさえも傷つく。
この場に居並ぶ者達の中にも不平不満や侮蔑の眼差しもあれば、これから騎士になる者への期待と誇らしさもある。
異体同心を要とされる騎士達の心は両極端に別れていた。
拒絶と寛容。
二つの心を持って迎えられる新たなる騎士は、アルテナからの移民で傭兵から身を上げた一人の青年。
後の黄金の騎士として世界に名を馳せるその青年の名は、ロキと言った。

アルテナの辺境の端、女王の威光もあまり届かぬ村。そこがロキの故郷だった。
魔力と魔法の才能が人間の価値を決める国では、恵まれた者は永久の春に似た繁栄を得られる。しかし持たざる者にとって彼の国は容赦ない極寒の地だ。
魔法の才能がないロキは人間としての尊厳など微塵もない扱いを受け、お情けで奴隷にされていた。
そんな生活から逃れるためにエルランドから密航して国外へと飛び出し、フォルセナに辿り着いてからロキの人間としての人生が始まった。
しかし初めから順調だったわけではない。
フォルセナの歴史は非常に長く、数万年にまで遡るといわれている。そのため民族意識が強い。他国人への差別意識は凄まじく、時には過激ですらある。
だから多くの傭兵はフォルセナには目すら向けず、ローラントやペダンへと足を向けるのだ。
ロキがフォルセナから他国へと渡らなかったのは、このまま引き下がれないという意地と路銀という現実的な問題があったからだ。
幸いなことにアルテナと比べれば、フォルセナは厳しいが、生きていられるだけでもよい国であったので、逃げる切実な理由がなかった。
歯を食い縛って着実に成果を上げていたことが功を奏し、運命の巡り会わせともいえる出会いによってフォルセナ王子と面識を深めてから、日陰者だったロキの人生は大きく変貌する。
他国人が王子と交友を深めることに対し、貴族や騎士達のやっかみや誹謗中傷は凄まじく、幾度も命の危機に晒されることもあった。
更に厳しくなった差別の中でも決してめげずに挫けることなく対話を繰り返し、人間としての信頼を勝ち得ていくうちに、次第に受け入れられるようになったのだ。
そして今日。
これまでのロキの功績が認められて、他国人で初めて騎士の位が与えられる。
ロキの、騎士としての第三の人生がこれから幕を開く。

トランペットが二度響き、それを合図にパイプオルガンが荘厳な音を奏でた。
会場に居合わせた者達の視線が、石造りの門から入場する人物へと向けられる。
純白のローブに身を包んだロキが、儀礼の間から叙任の間へと姿を現した。
無数の様々な意味を眼差しを一身に受けても怯み動じることなく、胸を張り昂然と頭を上げ、真っ直ぐ前を見据えて、威風堂々たる姿で数千年もの間数多の騎士達が踏みしめてきた石畳を力強い足取りで歩く。
その姿勢が憎悪や賛同を作ってゆく中、ロキが壇上の階段手前で立ち止まった。
ロキとリチャード。
身分を越えての友人同士で、一瞬の視線の交錯をさせてから、肩を掴むように胸の前に腕を交差させた後に跪いて頭を垂れた。

「ロキ=エンハウゼン」
王子が厳粛に宣言した直後、場が騒然となる。
エンハウゼンとは没落して途絶えた大貴族の姓であった。
貴族の姓を与えたということは王子がロキを一介の騎士で終わらせるつもりはないと宣言したも同然だ。
「汝をこれよりフォルセナ騎士と宣言する。 汝はこの大いなる名誉に自身が相応しいと思うか?」
「いいえ、今はございません」
他国人であるロキがフォルセナ騎士になる資格があるのか。そして彼が騎士になることによって王家と貴族連盟との溝が生じ、対立を生み出すのではないかという懸念がある。
しかし、この身に価値を見出してくれたリチャード王子への恩に報い、彼を昏君ではなく、名君と讃えられるように。死して尚も誉れ高い騎士と呼ばれるように。
生涯をかけて王子とフォルセナ王家に忠義を尽くす覚悟は既に定まっていた。
「なれど、謹んでその位を拝受し、この身を尽くして相応しくなるべく努める事を、誓います」
「では、騎士となりて、己が命と引き換えにしてでも、この国の剣と盾になる覚悟はあるか」
「はい」
最後の宣誓を聞き終えると同時に王子が祭壇の上に置かれていた剣から鞘を抜き放ち、ロキの口元に切っ先を向けた。
ロキは剣に黙礼をすると、未だ血を知らぬ煌く刃に、恭しく口付ける。
「マナの女神よ、偉大なる祖霊よ。この新たなる騎士に、汝の加護を与えたまえ」
祈りを唱えながら剣で右肩、頭上、左肩の順に軽く叩いた後に、鞘の中に戻された。
ロキが交差させていた腕を解いて、王子から手渡された剣を両手で丁寧に受け取り、深々と頭を下げる。
悠久の歴史の中で数え切れぬほど行われてきた式典であるが、その殆どが形式的なものであった。
この時ほど、魂からの誓いを述べる騎士も、またそれを真摯に受け止める王族も今までいなかったのだ。

そして、疎らながらも心の篭った拍手を以って、ロキは騎士に就任した。





言い訳
髪と目の色がリチャードやデュランと全く違うことからロキは別の国の生まれというのは以前から考えていた設定です。
そこからこんな欝な幼少期などを考えてしまいました。
でも最底辺の奴隷から騎士の最高位である黄金の称号にまで上り詰めたというサクセスストーリーも格好いいと思うのですが。

ロキの人間がある程度出来ているのに対して、リチャードが人の迷惑を考えずに、公私混同しすぎてますが……。
HOMや3でのリチャード(フォルセナ)への忠誠心や、我が身を犠牲にしてまで竜帝と相打ちにした理由などを考えていたら、こういうのもありかなと思います。

後に、王子は英雄王になって名君と賛美され、彼自身も竜帝を倒した黄金の騎士として謳われるのだから、この時の望みは叶ってます。(家族のことは心残りでも、ロキの一番は国と王子だと思いますので)
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