未完

聖剣伝説HOM 未完 『出会い』7

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注意
オリジナル設定や要素の強い話です。
こちらの設定を使っているので、まず一読してください。
サンドアローの両親という、オリキャラのみの話になります。

2→3(HOM)の時系列の話になってます。















砂塵の舞うディーン。
防砂布と風除けのフードで顔を隠した人々が往来を行き交い、活気に満ちた市場の声が風に乗って遠くまで運ばれる。
ジンの日は風と砂が大気から熱を奪うので風害を除けばウンディーネの日の次に過ごしやすい日だ。
ただ砂漠の環境と風習は言い換えれば人目を気にすることなく顔を隠したまま街中を闊歩できる日でもある。
身を隠すならばジンの日。そのような言葉が広く流布するくらいだ。
そしてジンの日は指名手配や、疚しい人間が多く出没することによって犯罪件数が増える日でもあった。

街中の人混みの中、風のように金品を掠め取る手が質のよい外套を羽織る女性へと狙いをつけた時。
まるで見計らったようなタイミングで手首が捩じ上げられた。
関節が悲鳴を上げて膝をつき、苦痛に悶えながらも手首を掴んで放さない人物を睨み上げた。
体格からして男だろうか。しかし明らかに身長に合わない大きな外套を羽織っているため、細身の体も相俟って華奢な印象を受ける。
だというのに逃さぬように掴む手は、力強い。
防砂布と、目深なフードによって顔は殆ど見えないが、僅かに垣間見える目元と、煌く深い紅玉の瞳が並外れた美貌である事を証明していた。
逃れられずにいた僅かな間に、狙いをつけていた女がこちらに顔を向ける。
晴れた目元と充血した淡い金の瞳はその美貌に凄惨な気迫を与えていた。
殺気すら滲ませた眼光に、年増の女が短い悲鳴を上げる。

近くの詰め所に突き出したスリの女の後姿を忌々しい思いで見送った後に、ゼファーの手を掴んで踵を返す。
蛇王団を始末するという長年の目標を目前にシルフの心は常にない程急いていた。
一刻も早く蛇王団の隠れ味とに行かなければならないとシルフが追い立てられるのも無理はない。
大部分をゼファーに殺されて、残党は極僅かだ。そのような状況で幹部がいつまでも戻ってこなければ行方を眩ます可能性が高い。
かといって私情を優先させるあまり、明らかな常習犯を見過ごすなどシルフには到底我慢ならなかったので、先程の女を捕らえたのだ。
そしてシルフの懸念の通り、取調べや事情聴取で多くの時間を無駄にしてしまった。
ここまで時間がかかってしまったのは、見るからに他国人のゼファーに警吏が不審に思い尋問したところ、入国証を持たない不法入国者だと判明したからだ。
出身国に着いても言葉を濁すゼファーに更なる疑念を抱いた警吏を引き離して、彼の身柄はナバールの管轄化にあるため手出し無用と反論を封じた。
本来ならばシルフ一人で罪人の引渡しを行えば無用な手間をかけずにすんだが、目を離した途端、何処かへ消えてしまいそうなゼファーを置いていくことなど出来なかった。
警吏のただならぬ様子からナバール側に真偽を問うだろうが、照合を行おうにも相手は所詮只人。必然的にナバールの対応の腰も重くなる。
猶予はその間のみ。
そしてこれからの仕事を考えれば警吏に悪感情をもたれるのは非常に困る。
一刻も早く蛇王団を始末して、ゼファーをナバールに連れて行かねばならない理由はそれだ。

周囲を見回した後にゼファーの耳元に顔を寄せて、極力声を潜める。
「……蛇王団の残党は何処に潜伏している?」
「『火の神殿』。 そこに集結しているそうだ」
聴いたことのない言葉にシルフが訝しく思い、尋ね返す。それに対してゼファーは少し驚いたようで、まじまじとシルフを見た。
「ディーンの西側にある遺跡で、砂漠の民にとって神聖な場所だった筈だ」
「………知らないな。 その、何某とやらは、いつの時代の建造物で、どのような用途で使われていたんだ?」
以前歴史オタクの友人からディーンの西に遺跡とは名ばかりの廃墟が残されていると聞いたことがある。
五千年前に闇の神獣と魔物によって世界が壊滅状態に追いやられた時に、一緒に壊されたのだと。
但し、友人はそれが途方もなく大昔の神聖な場所という程度のことしか知らず、いつの時代のもので、どのような目的で作られたのかは、わからなかったらしい。
何故、歴史の忘却の彼方に消え去った名称不明の残骸の事を、ゼファーが知っているのか。ますます興味が募った。
「超古代文明時代のもので、火の精霊と種子が祭られていた場所だ」
「……火の精霊は火炎の谷に鎮座するマナストーンの側にいると聞いているが……。 種子とはなんだ?」
「マナストーン? 何だ、それは?」
お互いに疑問を聞き合ってから、相手の顔を見た。
ゼファーが知る”常識”をシルフは知らず、シルフが知る”常識”をゼファーは知らない。
困惑と違和感が二人を包み込んで、離れなかった。
そんな時にシルフの脳裏に先程一蹴した”馬鹿げた考え”が再び湧き出し、心の中で渦巻き続ける。
二人の間に流れる気まずい空気を切り替えるようにゼファーが咳払いをして、シルフの意識を呼び戻した後に西の方角に顔を向けた。
「とにかく! 連中が『火の』…火の神殿にいるのは間違いない。
尻尾を撒いて逃げられる前に、始末する」




言い訳
本当はもう少し長かったのですが、色々と削りました。

ちなみにシルフの外套はフレイムカーンからの贈り物です。
日常的に使ってくれそうなものが外套だったからです。(あまりにも高価だとか値の張る物だったら受け取ってくれないので、パッと見で値段は分からないけれど、質のよいものをプレゼントしたんです)
上質なものだったら気づかれてしまうので、その辺りはフレイムカーンなりに考えてますが。
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