未完

聖剣伝説 『女神の騎士』 番外編 未完 【相容れない】

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注意
【Forcena】2~3の間の話です。
















それは、お世辞にも鏡とは呼べぬものだった。
一応姿を見るという点においては、辛うじて役目を果たしているが、あまりにもお粗末。
鏡面には凹凸があり、映る像も朧だ。
精度の悪い金属板を鏡と見立てている。それがこの鏡へのフェアリーの感想だった。

先程デュランから渡された服に袖を通す。
それは淡い水色で、所々花柄がアクセントにあしらわれているワンピースのような服だった。
パッと見で気に入ったし、実際に着てみても、悪い感じはしなかった。
―フォルセナにもこんな服が合ったなんて、驚いたわ。
最下級国にマトモな物があるとは全く思っていなかった。
そもそもデュランの家に着くまで見たフォルセナ人の服はボロと見紛うばかりで、到底服の役割を果たしていないものだったからだ。
飾り紐で腰元を緩く締めて、鏡もどきの前で一回転する。
―悪くないわね。
どんな服を着せるつもりかと不安だったが、これはよかった。

裾を翻す。
先程着ていた服と比べて肌触りは悪く、縫い目の粗い手作りの品だ。
けれど最下級国の中でも最下位の国のフォルセナの中では、この服は見惚れるまでに美しく上等なものだと推察できる。
ちらりと周囲を窺う。
この服を見る限りデュランには姉妹がいる筈だが、家の中を見た限りでは彼以外の生活感は一切なかった。
―独り立ちでもしたのかしら?
若しくは結婚でもして家を離れたのだろう。
家を出た姉妹の衣類を今でも手元に残しているなんて案外未練たらしい性格ねぇと思った。
それは限りなく上級国に近い中級国イルージャのように、命の危機のない安穏とした国の人間の考え方だった。


「……妹なら、死んだ」
感情を押し殺し淡々と答えたデュランに、フェアリーが何と言おうか迷ったが意を決して口を開いた。
「……どうして亡くなったの?」
形見を後生大事にしまっているのに、身内の死を語る割にはあまりにも反応が薄いように見えるデュランに疑問を持ってのことだ。

「あいつは奴隷狩りに遭ったんだ。
……グランスか、何処の国かはわからねぇ。 でも、もう死んだも同然だ」
デュラン自身こう語っているが、実際のところ死んだという実感はさほどない。
遺体を見たわけでもないし、ある日突然いなくなって、奴隷狩りにあったと後から聞かされただけだから、無理もない。
だからと言って、せめて生きていてくれだのとは思わない。
奴隷になった以上、いっそ苦しまないうちに死んでくれと切に願っている。
今も妹が人間の尊厳を奪われて生きていると考えるよりは、”人間”であるうちに死んでいると思った方が、デュランの心はまだ救われるのだ。

「死んだなんて……そんなこと。
まだ生きているかもしれないのに、どうしてそんなことをいうの?」
「……それは上民の考え方だろう」
拒絶するように言い放つデュランに、フェアリーが取り付く島をなくして黙り込む。
けれど向けられる眼差しは明らかに彼を非難していた。

フェアリーからすればデュランの言葉は薄情極まりないものであり、デュランからすればフェアリーの言葉は神経を逆撫でする無神経なものだった。
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