短文

『短文集』18

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『調理場』
『黒い兎』の後日談です。

背後から注がれる強烈な視線に命の危険を覚えて、恐る恐る振り返った瞬間、悲鳴が迸る。
特徴的な黒い毛玉のうさぎ型化け物が、そこにいた。
アメジストの中にオパールを溶かし込んだ神秘的な瞳が、殺気すら湛えて、ロジェを睨んでいる。
まさしく蛇に睨まれた蛙の如く、冷や汗がだらだらと流れるも身動き一つ取れない中、屠殺板に載せていた夕食の黄色い兎がキーキーと暴れ始めて逃げ出そうとする。
久しぶりの食事を逃してなるものかと、ラビの耳を掴んで包丁を振り上げた時。
降り注いできた隕石と、闇魔法の同時攻撃により、ロジェの意識が途絶えた。
聖剣伝説HOM ロジェ (ブラックラビによる被害、その1) 2013/11/16

『影の観客と、暴走する指揮者』
注意
オリジナル設定の強い話です。

少年の奏でる音楽によって、魔物が少年の意のままに戦う。
血の力で魔物を魅了し、使役させる。そして思念波を以って自在に操る。
如何なる魔物でさえ絶対的な主従関係における亜人種の事を、彼は知っていた。
森の民という、大昔の亜人種討伐で滅ぼされた民族だ。
何故それが現在に存在しているのか?それも純血種が。
―面白いな。
少し、何処までの力を有しているのか見てみたくなった。

全身に駆け巡る悪寒を感じ取って、トランペットから口を離して視線の先を見る。
そこにいたのは闇の司祭のベルガーだったが、普段の毅然としながらも穏やかな眼差しでなく、テケリを値踏みする嫌な目だった。
ベルガーが、まるで違う誰かに見えた気がして、息を呑む。
柔和な笑みを返されると、動揺を押し殺して震える手でトランペットに口付けた。
悲鳴の代わりに息を吹き、一刻も早くこの戦いが終わる事を願う。
底知れず得体の知れない”何か”が胸の中で暴れる恐怖に抗うためにもっと力を篭めた。

そして、魔物達は狂気とも言える怒涛の勢いで敵を瞬く間に殲滅した。
聖剣伝説HOM ベルガー+テケリ (テケリ暴走寸前で、影響を受けた魔物達) 2013/11/20

『暴かれた願い』
「違う!!」
遠くへ行ってしまった友人を留める為に腹の底から声を張り上げた。
リースの望みは、ローラントの滅亡などではない。
彼女の唯一の願いは、決して叶わない切ない想いによるものだ。
ケヴィンの叫びに、殺戮女帝は悠然と微笑んでみせる。
上級妖魔を二人も従えた魔女の笑みに一瞬怖気づくが、意を決して踏ん張った。
「リース。君の本当の望みはそんなものじゃないだろ。
ホークアイに会いたい。 本当はそれだけじゃないのか?」
その一言に。
人である事を捨てた女王が顔を強張らせて動揺する姿は、まさしく”人間”そのものだった。
聖剣伝説3 ケヴィン+リース (『Insane empress』の1シーン) 2013/11/28

『その名を最終兵器』
冷ややかに薄く笑んだユリエルに、ロジェの全身が総毛立つ。
彼がこのような笑みを浮かべた時には碌でもない事を考えている証拠だと、何年も一緒に暮らして嫌でも分かった。
「……あの、隊長……? 何をするつもりですか?」
敵は軽く千は越える軍勢なのに、味方はいない。
いくらロジェ達が強くとも、多勢に無勢だった。
更に最悪なことに、魔物を操れるテケリは今この場にいないのだ。
「ラビエル」
今までロジェの意識から排除していた黒い兎がユリエルの肩に飛び乗った。
いつの間に隊長はこの化け物を使役していたのかと、疑問と共に戦々恐々する。
「”あれ”を全て、跡形もなく消し去りなさい」
隊長の厳かな命令に、ブラックラビが吼えた。
隕石の雨と闇魔法の連続攻撃と共に、空間の歪みから数え切れない程のレッサーデーモンが噴出してくる。
悪魔の所業に耐え切れる人間など、存在するはずもなく……。
「もう、終わりましたよ」
あっという間に軍勢を滅ぼしたブラックラビの愛らしい目と、清々しい笑顔のユリエルを前に、恐れ戦く。
決して渡してはならない人の手元に、最終兵器が舞い降りてしまった。
聖剣伝説HOM ロジェ+ユリエル (『黒い兎』で、ユリエルのみテケリから黒い兎のレンタル可能) 2013/11/28

『教養の一つ』
「月が綺麗だ」
それはシークを必ず黙らせる言葉としてタナトスから聞かされた台詞だ。
どういう意味かと問えば、東国の古典知識の一つだという。
東国系列のヴァンドールでは教養があれば知っている言葉遊びなのに、何故貴族の君が知らないのかが不思議でならないとも言っていたが、それは無視した。
昔から興味のない事は殆ど覚えない性質なので、ただ記憶に蓄積しなかったに過ぎない。
同僚からは無学者と誤解されたくなければ教養の一つとして学び直せと煩く言われているが馬耳東風だった。
もしもゲシュタールの記憶の片隅にでも古典教養が残されていれば、この後の事態は確実に避けられたであろう。

「月が綺麗だ」
先程までは激しく口論を繰り広げていたシークは、即座に黙った。
凄まじい効果に感嘆し、認めたのも束の間。
おぞましく奇異なものでも見る眼差しと共に、容赦なく頬を叩かれた。
聖剣伝説2 ゲシュタール+シーク (二人の黒歴史) 2014/1/19

『不変の存在』
その男の姿は、いつまでも変わらなかった。
四季が移ろい時を重ねても、男だけは移ろうことなく若い姿のままで。
変わらぬ男の隣で妻子もまた時に流され、男を追い越して老いて逝った。
曾孫が生まれ、玄孫が生まれても尚老いず、美しいままの姿は、人々に得体の知れない恐怖を植えつけていく。
やがて変わらぬ姿を疎まれて、村から追い出される前日に姿を消したその時も。
うつろわざるものである男の姿は、終ぞ変わらなかった。
BOF4 フォウル (もしもあのまま村にいたら…) 2014/1/19

『女系家族』
魔王の末裔であるフィンランディ家は、優れた魔術の才覚と共に女系一族であることも有名な話だ。
本家、分家共に十人中九人が女性で、稀に男子が生まれる。そのため彼の家系では男子は可愛がられるが、女性の方が立場は上で、家庭内の万事が女性の手に委ねられていることは言うまでもない。
そして、魔王オーフェンの時代からも押しかけ女房や魔術の才覚に優れた娘達、牙の塔での義理の姉達といった幼少期から晩年まで強い女性達に囲まれていたことは文献を紐解けば明らかだ。
このような事情から、フィンランディ家の男子は代々女難の相の持ち主としても有名であった。
オーフェン オリキャラ (子々孫々に渡って受け継がれていく女難の相) 2014/1/31

『Evasion』
タナトスがジッとシークを見つめて、一言。
「シーク。 モフらせなさい」
ギョッとして珍しく音を立てて後ずさるシークの腕を力強く掴んだ。
瞬く間に血の気が失せていくシークの目を見て、更にもう一言。
「私はただ、あれをモフモフしたいから君の許可を得たいのだよ。
勝手にモフるゲシュタールに比べて、良心的だとは思わないのか?」
しかし、彼はキッと鋭い眼光でタナトスの意思を跳ね除けた。
素早くタナトスの手を振り払うと、そのまま掻き消えたシークの姿に舌打ちをする。
「………逃げても無駄だよ、シーク」
聖剣伝説2 タナトス+シーク (『beast』の没シーン) 2014/2/12

『惑いの悪夢』
その夢は兄弟三人でシーダの森に住んでいる光景だった。
その夢で俺達は皆成長して、今と変わらない年頃だった。
その夢の俺達は幸せな日常を失うことなど考えもせず、当たり前として享受していた。
その夢……。
際限なく湧き出る考えを心の奥底に閉じ込め、厳重に施錠して沈める。
二度と表層に出てこられないように、深く、深く……。
今の彼にとって”もしも”の想像の産物は、女神への迷いを齎す悪夢に過ぎなかった。
BOF3 ティーポ (エデンに来た直後) 2014/2/12

『1m以上、3m未満』
「……ねぇ、つまり3m以上離れたら駄目ってこと?」
兄姉のような実質上の保護者達の夫婦漫才を黙って聞いていたフォボスの口から、つい、ポロッと出た。
『え?』
「なんだ、クエス。それならそうと言ってくれよ。 お前も素直じゃねえな」
「ち、違う!!僕はそんなつもりで言ったんじゃない!
………!! とにかく、1m以上3m未満だからな!」
「わかってるって。 3m以上離れねえから安心しろ!」
「……………」
何ともいえない表情でクエスとサスケから顔を逸らして、深く息を吐く。
今は、無性にセイラに会いたかった。
火星物語 フォボス+α (あの台詞の真意) 2014/2/12
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