未完

聖剣伝説2 未完 『beast』2

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注意
オリジナル設定があります。
















それは遡ること数日前。

「タナトス!!」
常日頃、冷静沈着な司令官の荒げた声に、タナトスが足を止める。
―珍しい。
政治的に高い地位のある者が動揺を見せて、無闇に感情を昂ぶらせることが周囲に与える影響を承知しているシークは、よく激情を堪えて冷静を保っている。
その彼が、城内の廊下という人目がある所でこのような醜態を見せるとは。
何がそこまで彼を駆り立てているのか、気になって振り返った。
「何かね、シーク」
「ファウナッハの毒の事で話がある」
タナトスとしてはなるべくシークを刺激しないように穏やかに語りかけたが、彼は頑なな態度を崩さなかった。
それどころか眼差しは更に剣呑の色を増してゆく。これがゲシュタールなら既に波動砲が何発飛んでいることやら。

ファウナッハは先日突然の高熱と共に夥しい吐血をしてから、昏睡状態が続いていた。
昨夜漸く意識を取り戻したが、未だ予断は許さない危険な状況に変わりない。
何故そのようなことが起きたのか。その原因はタナトスにあった。
彼女が物心着く前から今に至るまで、タナトスは少しずつ毒を与えていたからだ。
毒が許容範囲を超えて体が拒絶反応を起こせば一度毒を抜き、慣れさせてから再度毒を与える。
それを十年以上繰り返し来たおかげで、ファウナッハの血液や体液は猛毒を宿している。

最近は”発作”の症状はなかったが、四天王に入る直前まで拒絶反応で倒れることなど珍しくもなかった。
だから今回も2、3日で治るだろうとたかを括っていたのだが、ここまで拒絶反応が酷いとは、実はタナトスにとっても誤算だ。
けれど、この程度ならまだ取り返しの効く範囲であると、彼は考えていた。

毒を宿す美しいバラという観点から見れば、タナトスも満足する合格の”芸術品”だ。
彼女と恋仲のシークが生きていられるのは、忍びになると共に施術された万能抗体によるものに他ならない。
タナトスとしてはその抗体に並々ならぬ興味を抱いているが、血液に溶け込む以前のものが入手できないので調査も捗らないでいた。
まぁ、体が出来上がる成長期前に投与しなければ拒絶反応で死ぬらしいから、実用化は難しいだろうけれど。

「……お前が彼女に与えていた毒の種類と、配合を読ませてもらった」
「どうだい、あれの感想は? ファウナッハに危険なく、それでいて毒に」
嬉々と語ろうとしたが途中で胸倉を掴まれた事により言葉を遮られた。

「あんなものを只人であるファウナッハに与えていたら、命を危険に晒すことくらいわからないのか!?」

幾ら博学なシークでも手に負えず、信頼できる数少ない筋を頼って本国の医師や調薬師に入手した毒のリストを送り、解毒の方法を探らせている。
それまでの応急処置としてプイプイ草を原料とした解毒剤を投与しているが、焼け石に水だった。
解毒剤と共に不眠不休で気を送り続けて体力の衰えを極力押さえていた。そして昨夜彼女が目を覚ましたときは天にも昇る気持ちだったのだ。
なのに、タナトスは反省するどころか誇らしげに芸術品という”物”を語ろうとした。

「ファウナッハなら大丈夫だよ。 この私がついているからね」
せっかくあそこまで育て上げたものをそう簡単に壊すわけがない。なのに何故シークがそんな事もわからないのかが、タナトスには理解できなかった。
「それが一番信用できないんだ!!」
よほど腹に据えかねたのか、苛立たしげに吐き捨てると、乱暴にタナトスを突き飛ばす。
予想外の力にタナトスが少しバランスを崩している間に、シークの姿はその場から消え去っていた。
―本当に困ったものだ。
タナトスが胸元に手を添えると紅く染まっていたローブが純白を取り戻してゆく。
ファウナッハはタナトスの管轄下にあるのだから、シークが横から口を出す問題ではない。
なのに、何故こうも干渉してくるのかが、全く分からなかった。

言い訳
タナトスもこれ以上面倒なことになるのを嫌って、ゲシュタールには適当な理由を話してます。
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