未完

聖剣伝説3 未完 『最後の一滴を巡って』

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注意
かなりオリジナル設定や要素が強い話です。
時系列としては2→3です。
ベルガーは某呪術師に乗っ取られているという前提です。

『mystic』(聖剣2小説)や『delicate affection』(聖剣お題)と繋がっています。

『delicate affection』を読んでから、読む事をお勧めします。























Case ミラージュパレス
「……黒の貴公子。 それが最後の闇の血族か」
何処となく歓喜を滲ませた主の声音に、死を食らう男はその意図を掴めなかった。
「……まぁ、闇の血族と申しましても、5千年前に成り上がり魔王によって妖魔になった”転生体”ですけどネ」

「件の闇の血族は、長らく失われていた闇のマナストーンを現世に召還した代償で仮死状態にあるという。
それならば体を奪うことも容易かろう」
「……今、何と?」
聞き捨てならない言葉にハッと顔を上げて恐る恐る尋ねた死を食らう男に、道士は冷ややかな眼差しを向ける。
その目を見れば、彼が何を思っているのかがわかり、はらわたが煮えくり返った。
「………父上。黒の貴公子の体をご所望でございますか」
今まで沈黙を保ったまま仮面の道士の側に控えていた青年が、無機質な声を出す。
「彼の体に乗り移れば、”私”も多少なりとも本来の力を取り戻せるからね。
ヒース。やってくれるかい?」
「承り…」
「待った!!」
最後まで言わせぬと大声で遮った死を食らう男に、二人の冷淡且つ突き刺さる痛い視線が注がれる。
「いえ、お待ちを!!
道士様。 そのお役目、このワタクシめにお任せいただけないでしょうか?」
冷や汗を滲ませながらもみ手でゴマをする死を食らう男に、道士は舌打ちをした。
「私は君に聖域侵攻を任せたはずだが、その道化頭には入らなかったのかい?」
「しかし、こんな若輩者…それも人間如きがあなた様の意に沿った仕事を出来るとは、到底思えません。
そもそも、これはあなた様の悲願を叶える為の、重要な任務。だからこそ、是非ともこのワタクシめに!!」
声を荒げ、唾を飛ばす勢いで懸命に我こそがと訴える、その心中は。
―力を取り戻す? 冗談じゃありませんよ!!
今でさえ嘗て刻まれた呪によって死を食らう男に自由はない。それでもある程度好き勝手出来るのは、今の主が只人に宿った思念体に過ぎないからだ。
それが、闇の血族の体を。本来の力を取り戻したのならば。
死を食らう男は物言わぬ操り人形と成り果てる。
そして、嘗ての主の思念体とその宿主に危害を加えることが消滅に直結する死を食らう男にとって、迫りくる魔の手から逃れる術はとても限られている。
――消しましょう。
仮面の同士の手に入る前に、黒の貴公子を。最後の闇の血族を。
道士から向けられる視線に心臓が止まる思いをしたが、所詮お前に何が出来るのだと言外に滲ませており、更に死を食らう男の憎悪を駆り立てる。

「ヒースは信用できるが、君は信用できない。 それが理由だ。
わかったのならば、さっさと獣人共に発破をかけて聖域侵攻の準備を整えさせて来い」
鬱陶しげに手を払い、それでも立ち去らぬ死を食らう男に指先を向け、短く呪文を唱える。
強制転送の術だ。
邪魔者を追い払い、仮面の道士が。否、ベルガーに乗り移っている思念体が鷹揚な笑みを形作った。
「さあ、ヒース。 これからの打ち合わせをしよう」

Case ドラゴンズホール
「………竜帝様は、”正術”なるものをご存知ですか?」
紅蓮の魔導師の問いに、竜帝は珍獣でも見るような思いで頷く。
現存する魔法は精霊の力を借りて行使する精霊魔法のみだが、遠い昔には自らの魔力のみで行使する正術なるものが存在した。
例えば精霊魔法が自分の微細な魔力で精霊という他者に働きかけるものならば、正術は自分の魔力で直接”現象”を起こすものだ。
正術には幾つかの系統があったようだが、詳しくは竜帝も知らない。
今ではもう正術を行使できる亜人種は絶滅しており、精霊魔法ですら多大な制約を伴う只人には無縁の存在だった。
だからこそ、そんな大昔に失われたものを、只人である彼がどうして尋ねてきたのかという興味が湧いてくる。
―まさか、正術を扱う方法を教えて欲しいなどという、戯言を言うつもりか?
それは地を這い蹲る蟻が、雲を手に入れたいと願うのと同義だ。

「闇の血族は正術を行使できた数少ない三強人種の一つだったと、文献には書かれておりました。
そして……。
黒の貴公子は、最後の闇の血族でございます」
不敵な笑みとともに告げられた言葉に竜帝は暫し唖然としたが、彼が何を言わんとしているのかを察すると、呆れと共に面白可笑しくて笑いを堪えるのが大変だった。
只人ごときが三強人種の血を、己の体内に取り込み、その力を得ようとするなど考えもしなかった。
―何と言う傲慢!身の程知らずの欲深き生物か。
しかし、元来無力極まりない只人は力においては竜族すら恐れをなす貪欲の塊だ。

「紅蓮の魔導師。一つ忠告しておく。
貴様がどのような答えを期待しているかは知らぬが、あれは選ばれたものにしか扱えんぞ。
例えその血を体内に取り込んだとしても適合する保証はなく、早々に朽ち果てるのが関の山だ」
「しかし、竜帝様……!!」
「万が一にも」
紅蓮の魔導師の訴えを遮り、竜帝が厳かに続ける。
「適合したとしても、お前が得られる力は砂塵の一摘み程度だ。
そして遠からず、分不相応な血の力に耐え切れずに肉体が崩壊するだろう」

「紅蓮の魔導師。儂は貴様を買っておる。
だから見果てぬ夢を求めて無駄に命を削ぎ落とすよりも、只人は只人らしく地に足をつけていろ」
紅蓮の魔導師が息を飲み、グッと堪えるように頭を深々と下げた。
「……はい、仰せのままに。 竜帝様」

竜帝が立ち去るのを見送った紅蓮の魔導師の指先に力が篭められる。
―地に足をつけろ、だと? 貴方がそれを言うか!?
彼に力を与えてくれた存在が。

アルテナは先天的に魔力のない彼を、価値のないものとして蔑んだ。
魔法の勉学や修練に励む彼の姿を、無駄な努力だと嘲笑い愚弄していた。
けれども竜帝だけは、彼の努力を否定しないと信じていた。また力を得ようとする姿勢をも評価してくれると。
それほどまでに魔力と共に人としての尊厳を与えてくれた竜帝に深く感謝して、信頼や敬愛を抱き、崇拝すらしていたのだ。
だが竜帝は、飛び立つことも許さぬとばかりに彼の思いを踏み躙った。

彼の身に宿る竜帝の魔力を以ってしても力への渇望は満たされることなく、更なる力を得る事を諦められなかった
闇の血族の魔力が、どれほどのものか。
それを考えただけでも、身体の奥底が熱く滾る。

―見返してやる。
魔力がないと彼を侮ったアルテナの人間のように。
所詮は脆弱な人間に過ぎないと侮った竜帝を。
黒の貴公子から闇の血族の血と共に力を奪い、私は無力な存在ではないのだと証明する。

そして、闇の血族の力を手に入れるのは、この私ただ一人だけだ。

言い訳
二大勢力から狙われる黒の貴公子。
竜帝側が勝てば血液を採取された上で消滅させられ、仮面の道士側が勝てば”彼”の再臨を恐れた死を食らう男によって消滅されられる。
美獣は聖域に行かず黒の貴公子の側で徹底ガードした方がいいという話です。(邪眼の伯爵だけで他の勢力に勝てるのかという疑問はありますが)
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