未完

聖剣伝説2 未完 『決定事項』

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注意
オリジナル要素があります。
男女逆転の話です。
性別が異なれば名前は違うでしょうから、ランディ・プリムは少女・青年。ディラックはディアナです。
ポポイはそのままポポイです。

『とある話につき、要注意』の前日談です。











マナの木が吹き飛ばされた、あの時。
ポポイはこの旅の末路と、仲間達に待ち受ける悲しい運命を悟った。

マナの要塞に潜入する前夜。
急激なマナの減少によって森羅万象が力を失い、季節外の寒さも相俟って、世界の終焉を匂わせるような夜だった。

凍える風が吹きつける中、少女は一人草原に座り、空を仰いでいた。
マナが減少すれば人心は乱れ、天変地異が起きやすくなるように、マナが世界に与える影響は凄まじい。そのマナがなくなれば……世界は終焉を迎える。
母が亡くなった時、少女の中に封じられていたマナの女性の使命が、鮮烈に蘇った。
マナの木がなくなった今、新たなマナの木を作らなければ、世界は遠からず滅ぶ。
そして、最後のマナの一族は、もう、この世にたった一人しかいない。

特徴的な足音が近づいてきて、少女が振り返った。
「よう、ネエちゃん」
ポポイが少女の隣に座る。
「こんな夜更けに一人でいたら危ないぜ。 親分のオイラが用心棒になってやるよ」
「ありがとう、ポポイ」
笑う少女に、ポポイがケラケラ笑い返した後に、深い溜息をついて俯いた。
深刻な面持ちで黙り込むポポイに、少女が距離を詰めて寄り添う。
二人共に暫し沈黙に身を委ねて、やや経ってからポポイが顔を上げた。
「ネエちゃん。 この旅が終わったら、何がしたかったんだ?」
「そうだね……。 世界を巡って、お世話になった人達への挨拶回りかな」
村を追い出されてから様々な出来事があり、多くの人々と出会い、助けられてきた。だからこそ、改めて礼を言いたいと少女は考えていた。
「それと、パンドーラかタスマニカのどちらかに仕官したかったなぁ」

「ポポイ。此処だけの話だけど、あたし男に生まれたかったんだ」
「へぇ」
何で。その問いはわざわざ聞くまでもないから、胸の奥に仕舞い込んだ。
村での出来事をあまり話さない頑なな姿勢、閉鎖的な村にある風習。そして、鄙に稀な可愛らしい顔立ちの少女。
これだけあれば、俗世に疎い妖精族でも大体の事がわかる。胸糞悪いと青年が忌々しく吐き捨てたが、同感だ。
もし、少女が男だったら、と。ポポイは想像の世界に思いを馳せる。
気弱が祟って、ポポイと青年のパシリにされる姿が真っ先に浮かんだ。”彼”は青年のようにポポイの子分発言に猛然と詰め寄らないだろう。
今までの旅はポポイと青年が少女を支えるように歩んできたが、その世界では二人が”彼”を引っ張っていくだろう。
考えれば考えるほど、際限なく湧き出る想像はとてもしっくりしていて、まるで現実のようだ。
面白くて、ついつい笑ってしまう。
「ポポイ?」
「ネエちゃんが男だったら、さぞ面白かっただろうなと思ったんだよ」
「……そうかな?」
「男二人妖精一人のむさ苦しいけど、気安い関係じゃないか」
「うーん………。 ………自分で言っておいてなんだけど……あまり、いいイメージが湧かないなぁ」
「そうか?」
「みんなに振り回される関係になりそう」
「もしネエちゃんが男だったら、オイラやニイちゃんはあんまり気遣わないけどな」
「………………」
少女がこの話題を振り払うように、首を振る。
「もし、あたしが男だったら……。
マナの木がなくなった以上、タナトスを倒しても世界は滅んでいた……。 だから、これでよかったんだ」
ポポイに話しているようで、少女は自らにも言い聞かせた。

「……ネエちゃん、これからの事をニイちゃんに話すのか?」
「うん。 ……黙っていなくなるなんて、あたしには出来ないから、最後のお別れをしてから行くよ」
「………そう。 ネエちゃんがそう決めたんだったら、オイラが口を挟むことじゃないな」
重い空気が二人の間を流れて、話すのも躊躇われる。
沈痛なポポイの顔を見ていられずに、少女がポポイの肩に手を置いた。
「大丈夫だよ、ポポイ。
あたしがいなくなっても、彼にはディアナさんとポポイがいるから、心配しなくてもいいよ」
「あのなぁ、ネエちゃん。 ニイちゃんはネエちゃんを忘れるような薄情な男じゃないぞ。
例え恋人を助けても、ネエちゃんがいなくなったらニイちゃんは悲しむに決まってる!
それに、オイラはニイちゃんとは一緒に」
「大丈夫」
最後まで言わせぬと、少女はポポイの言葉を遮った。
「あたしがマナの一族としての使命を果たすから、ポポイや精霊はこの世界にいられるよ」
「……ネエちゃん……」
無理に笑う少女を見て、余計に切なくなった。
例え世界が救われて、青年が恋人を助け出せても。少女が犠牲になれば、青年は一生重い十字架を背負い続ける。
恋人と共に生きても、少女の事を決して忘れられず、生涯残り続ける。
そこまで考えて、ハッと息を呑み、少女の顔を見つめた。
――私を、忘れないで。
幼少期から余所者として疎外され、酷い扱いを受けてきた少女の唯一の望みは、聖剣の勇者として称えられる名誉ではない。ただ、初恋の青年に覚えていてほしいという、願いだけだ。

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