未完

聖剣伝説3 未完 『塔の前にて』

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注意
ルガー戦前のシーンに至るまでの話です。










暗闇に閉ざされている森の中を失踪する魔女二人は、満身朱に満ちていた。
仲間の返り血ばかりでなく、一人は肘から下の腕が食い千切られ、もう一人の片頬には深い爪痕が刻まれている。

世界で最も優れたるアルテナの魔女に勝る者はなしという出陣前の司令官の言葉に、誰もがその通りだと誇らしい思いに満たされていた。
しかし、現実は違った……。
見通しの悪い森の中、徒党を組んで襲い掛かってくる獣共。更に強化された獣人の軍勢などによって、アルテナの魔女軍団がまるで赤子の手を捻るように呆気なく殺されていった。
辛うじて生き延びた魔女達も、その実態は惨めな敗走だ。
マナストーンを解放する前に仲間の殆どが殺され、ビーストキングダムにアルテナの敵対行動を完全に曝け出してしまったのだ。その責を負うのは実行部隊の生き残りだという事を考えれば、彼女達の未来は暗澹としている。
最早マナストーンを解放して帰還するしか、道はなかった。

霧に覆われた視界に月夜の塔が見えた時、魔女達の胸に歓喜と不安が込み上げる。
月夜の森でも甚大な被害が出たのだ。最も警備が厳重であろう最重要地をたった二人で攻め落とすなど不可能だ。

「月のマナストーンさえ解放すれば……」
二人は顔を見合わせて、頷いた。
此処に来るまでの犠牲を考えれば、不利でも引き下がるわけにはいかなかった。

警戒しながら慎重に塔へと進む中、身を凍らせるほどの殺気を覚えた魔女が反射的にバリアを張った直後、朱雀の形を纏った闘気が彼女達を襲った。
結界が歪むほどの衝撃が走り、負荷に耐え切れずに杖が軋み、ひび割れていく。

筋骨隆々の戦士で、胸には指導階級を表す飾りが誇らしげに縫い付けられている。
立ち塞がる獣人は、これまで見てきた連中とは比較にならぬ実力であると察した。

「人間ごときが。 また我らの土地を侵すというのか」
ルガーは喉奥で獰猛な唸り声を発した。
「許さんぞ!!」
殺気と憎悪を孕んだ目が、魔女達を突き刺す。
ルガーの凄まじい気迫に、魔女が恐怖に顔を強張らせた。
「人間風情が、身の程を知れっ!!」
雄叫びを上げて、闘気がルガーを中心に渦巻く。
恐怖から我に返った魔女が杖を翳し、早口で呪文を唱えた。
「ファイアボール!!」
火の精霊が引き起こした火の玉がルガーめがけて襲い掛かるが、彼は最初の一撃を身を捻りかわし、残りは拳で払い除けて霧散させた。
高まっていく冬季の塊に魔女が杖を翳してバリアを張る。
咆哮と共に放たれた闘気とバリアは激しくぶつかり合い、闘気が消失した頃にはバリア周囲の地面は深く抉れていた。
バリアを張っていた魔女の体が崩れ落ちると、ひび割れていた杖が音を立てて割れる。
強大な闘気を放ったルガーは息一つ乱しておらず、気死した魔女との格の違いを見せ付けていた。

力尽きた同胞に魔女が縋りつく。
「ミシェル! ミシェル!!」
顔を歪め、泣きながら動かない親友の体を必死に揺さぶる。
戦士としての心構えもなっていない未熟者に吐き気を覚える嫌悪感を抱きつつも愚かな様を嘲笑うと、魔女の首に手を伸ばしてそのまま骨をへし折った。
折り重なるように倒れた二人の死体を、冷淡な目で見下ろす。
「馬鹿め。この俺様に敵うはずがあるまい…」
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