未完

聖剣伝説3 未完 『父と子と、そして』

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注意
オリジナル要素があります。
時系列としては2→3(HOM)です。
ベルガーが某死神仮面に乗っ取られているという前提です。












「おやめください、父上!!」
青年の目が驚愕と恐怖に見開かれる。
「私は、私は……!!」
後ずさる青年を追い詰めるように、年配の男が歩み寄ってくる。
顔が醜く歪み、昔の面影が微塵も残っていないほど変わり果てた父が、嘗ての慈愛の笑みと共にヒースに死ねと言う。
幾ら冷静沈着の聡明な神官といえど、何よりも父を愛してやまぬ青年が取り乱すのも無理はない。
「何を恐れる必要がある、ヒースよ。永遠に存在できるのだぞ。 もっと喜べ」
尚も逃げようと身をよじらせるヒースに業を煮やした男が呪文を唱えると、凍りついたようにヒースの動きが止まった。
呪術で縛り付けたヒースの胸に、男が手を添える。
「もう離れぬ。 ヒース、これからは共にあろう」
「……ちち…う……」
男の掌が水に浸すように皮膚を貫き、心臓を抜き出した。
肉体から離れても鼓動し続ける自らの心臓を愕然と見ていたヒースの体が、崩れ始める。
男は血が滴り、脈打つそれを静かに台座に置くと、呪文を唱えた。すると、倒れたヒースを取り囲むように魔方陣が浮かび上がる。魔法陣は眩く光った後、妖しく紫に光る線となって、繭の如く亡骸を包んでいく。
唯一生きていたヒースの心臓を自らの体内に取り込み、呪いの繭に包まれてアンデッドに変わりゆくヒースを見下ろしていると、頭の片隅でこの体の本来の持ち主が煩く声を上げた。
――何故殺した!? 儂はヒースの死を望んではいなかった。 ただ、一緒にiいたかっただけだ。なのに――
やかましく、無意味な事を喚きたてる思念の残骸に嘲りを抱く。
今更分かりきった事を蒸し返すのか。これだから、人間というものは。
思考を振り払うように頭を振るうと、らしくない舌打ちをした。
つくづく、嫌になる。

ベルガーの意識はヒースと共にいたい。もう、離れたくないと訴えていた。ヒースももう二度と父と離れたくないと、全身で叫んでいた。
その魂の叫びに、”彼”は気紛れに応じた。
ならばその願いをついでに叶えようとしたのは、極めて稀な親切心と言っても過言ではない。

長年封じられていた呪が解放され、淀みきった今のミラージュパレスは、現界の生命は悉く死に絶える空間だ。
この中で生きられるのは、現界の生物ではない妖魔と、正術を行使して我が身を守れる種族しかいない。
そんな中でこの肉体が朽ち果てないのは、思念体の”彼”が宿主を守っているからだ。けれど、他者まで守る力はない。
そして”彼”はこれからの目的に最適なミラージュパレスから離れる気など、毛頭なかった。
ベルガーとヒースがこれから先も一緒である事を望むのなら、ヒースを死者にしてアンデッドにするのが最良の方法だ。
聡いベルガーならここまで悟って当然なのに、どうしてここまで取り乱すのか。またヒースも定命から解放されて死なぬ存在になれるのに、何故拒絶するのか。
人の心を失って久しい”彼”にとっては、とても理解できぬ概念であり、感情だ。
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