未完

聖剣伝説FF外伝 未完 『思慕』

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注意
ヒーローの名前ですが、デュークです。




ウィリーにとって、それは初恋だった。
彼が生まれ育った村の外れにある簡素な神殿の最奥の祭壇に安置された柩にその少女はいた。
柩の中で千年もの眠りにつく少女は、最後のマナの血族であり、新たなるマナの木となる種子だという。
村の人間はマナの少女を崇拝し尊重して大事にしていたが、幼かった彼は少女の事を綺麗なお姉さんとして慕っていた。
少女の目覚めが近いと、年若の村長ハシムに聞かされてからは、眠る少女に歌を聞かせ、柩を花で飾り、その日あった事を面白おかしく話す。村人達からは不敬だと眉を顰められていたが、フィリーは毎日通い続けた。
散々注意されても止めなかったのは、反対されて意地になっていたというのもあるが、何より孤独に眠り続ける少女が心細く、可哀想に思えたからだ。
当時家族と一緒に寝ていたウィリーにとって、一人で寝ることなど恐怖だった。千年という途方も長い年月もその恐ろしい環境に置かれて、目が覚めたときには誰もいないなんて、酷すぎると見ていられなかったのだ。
やがて毎日続けていた習慣も、年を重ねるにつれて間隔があくようになり、ウィリーが大人になる頃には少女の元へ訪れることも稀になっていた。

村を出たあの日、最期に見た少女は綺麗なお姉さんから可愛い女の子になっていた。
少女は何一つとて変わらない。変わってしまったのはウィリーのほうだ。
幼子から青年へと、それだけの年月が流れていた。

村を出てからはあの少女を思い出すことはなかったが、死を間近にして回想するのはデュークでもアマンダでもなく、あの少女だった。
幼い頃の淡い純心。時と共に失ってしまった思い出。

君はもう、千年の眠りから覚めたのか?
間もなく目覚めると聞いて、心待ちに通っていた幼い日々。いつしか眠る少女よりも名を上げる事を夢見て、村を出た。
今になって思えば、待っていればよかったという悔恨もある。

目覚めた少女はマナの木になるという。それでもウィリーは少女に人間として生きて欲しい。
そのためにはマナの木を狙うグランス公国を止めなければ。

旅の中で聞いたジェマの騎士の話。
もうウィリーにはジェマの騎士を頼ることは出来ないが、ただ一人。最期の願いを託せる親友がいる。

「………う、うぅ………デュークを、呼んでくれ……」
掠れた呻き声を出すだけでも、命が削られていく。
それでも、どうしても伝えたいことがあった。
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