未完

聖剣伝説3 未完 『和平失敗』

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注意
ホークアイが旅の仲間にいないED後。
リース→ホークアイ前提です。
色々問題があるかもしれません。












「……ナバールの方々の遺体は、丁重に埋葬しました」
フレイムカーンから、ナバール兵の亡骸をどうしたのかと尋ねられて、リースは何故そんなことを聞くのかと思いつつも答えた。
当時、アマゾネス部隊からは怨敵であるナバール兵の亡骸を埋葬することに抵抗を抱く者が多かったが、リースは死ねば皆同じ女神の御許で眠る権利があると一人ひとりに説得に回った。そうして、城からやや離れた場所にナバール兵の墓地を作り、花を添えたのだ。
答えた途端、全身に吹き付けるような無数の呪いの目に晒されて、リースが訳もわからず動揺し、困惑する。
突然のことにライザは呆然としたが、すぐ我に返り槍を構えて、主を守るようにリースの前に立った。
双方一触即発かと思われるほどの緊迫した空気が流れる中、リースがライザを下がらせて、矢面に立つ。
カタッと身動ぎをした者もいたが、その者は怒りを両手に握り締めて、奥底へと厳重に封じ込めた。
その者の目は殺意で漲っており、許しを得られれば即刻ローラント側の使者を殺めるといわんばかりだ。
リースが動揺を押し殺して、フレイムカーンを見る。
フレイムカーンは表面上平静を保っている。しかし、百戦錬磨の老獪な戦士だというのに、感情を完全には隠し通せておらず、その目は怒りと憎しみに満ち満ちていた。
和平交渉の頼みの綱であるフレイムカーンの理由の知れない敵意に失望する。
これでリースに残されたのは、ただ一人だけだ。
彼だけは大丈夫だと信じて、救いを求めるように彼に視線を向けて、愕然とした。
秀麗な顔を強張らせていたホークアイは、リースの眼差しに気づくと、汚らわしいといわんばかりに目を逸らした。
思ってもいなかった拒絶の反応に、リースの目の前が真っ暗になる。
何故?どうして?
疑問が渦を巻いて彼女の頭の中を飛び交い、辛うじて絶望に沈むのを防いだ。

「……これは、一体どういうことでしょうか?」
絞り出した声に、ナバール側の蔑視は更に深くなる。
「私たちは礼儀を尽くして……」
「酷すぎるわ」
リースの声に乗せる形で放たれたジェシカの硬い声に、皆の視線がジェシカに集まった。
「骸を土に埋めて、虫に食わせて惨めに腐らせる。よくも、こんなおぞましいことが出来たわね。
死者の尊厳を踏み躙る惨い辱めが、ローラントの”礼儀”?
こんな非道な扱い、黙って受け入れろと言うの!? 和平?ふざけないで!!
そんなことをするくらいなら! あなた達を、一人残らず殺してやる!!」
激昂し、涙も露わに怒鳴り、リースに掴みかかろうとしたジェシカをライザが槍で打ち払う。
「ライザ!」
リースが鋭く叱責するが、ライザは頭に血が上っているのか、槍を振り上げ、穂先を倒れた少女に向けた。
「やめなさいっ!!」
リースが止めようと腕を伸ばすも、穂先がジェシカに突き刺さる前にライザの腕は切り落とされた。
膝から崩れ落ちるライザには気にも留めず、このような早業をやった人間は誰かと、リースが素早く周囲を探る。
その人物は、すぐ側にいた。
倒れたジェシカを気遣い、抱き支えるホークアイのナイフには鮮血がついている。
「……ホークアイ……」
漸く彼女を見たホークアイの目は冷たく、凍えるほどに鋭かった。
「ローラント王女、感情的に首領の娘を殺そうとするのが、貴方の答えでよろしいか」
「そんな、これはライザが勝手に!」
「部下の責任は全て上官が背負う。それはどの国でも変わらないと思っていたが、ローラントでは違うのか」
これ以上会話するのは無意味だといわんばかりの拒絶の眼差しに、言葉をなくして首を振るだけだった。

「ジェシカの過激な言動はこちらにも非があるが、それに対してローラントは殺そうとするとは。
流石は新興国。この一事だけで民度の低さが窺えるな」
冷ややかなフレイムカーンの言葉に、リースは返す言葉もなく頭を下げるだけだった。
和平に門を開けていたナバールは訳も分からぬうちに、突如門戸を閉ざた。
どうして、こうなったのか。幾ら考えても、答えは見つからない。
ナバール側の突然の敵対感情にも問題はあるが、ジェシカの過激な言動だけだったら、まだ希望はあったと思う。
ああ、せめてライザが彼女を殺そうとしなければ。
ライザの腕が切り落とされたが、あれは自業自得だ。あのままジェシカを殺していたら、間違いなくローラントとナバールの全面戦争が始まっていただろう。
それを防ぐためには致し方ない。槍術の達人を一瞬で戦闘不能にするには、ああするしかなかったのだ。

その時、ふと以前ニキータが語っていた言葉が思い出された。
『……両国の和平は、もう無理ですニャ』
ローラント解放後、ニキータにナバール兵をどのように弔ったのかと尋ねられたとき、土葬と答えた後、ニキータは絶句して先の言葉を呟いてから何も語らなかった。
彼には、こうなることがわかっていたのだ。
では、どのように弔えばよかったのだろう?ナバールでの死者の弔い方など、ローラントは知らない。
遺体を土に埋めて、女神の御許で眠ることがおぞましいと言われるほどの罪なのか?



言い訳
国によって価値観や、埋葬方法が色々違うのだから、それがこじれると色々と厄介なことになるという話です。
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