未完

聖剣伝説HOM 未完 『神官のとある一幕』

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注意
私的設定があります。
キュカとリチャードの扱いが酷いです。












食事の姿に、その人間の教育環境や生活習慣、文化背景だけでなく、人間の本性が垣間見える、というのがベルガーの持論だ。
ナイトソウルズの面々と各国の有志たちの食事風景を観察する。

ユリエル、ファルコン、ヴァルダは厳格な教育を受けたからか、美しい食事作法が骨の髄まで染み込んでいる。見苦しい所作が皆無の食事風景というものは、見ていて気持ちがよいものだ。
ロジェは自身を庶民代表の一人と位置づけているが、それにしてはちゃんと躾けられている。この一点から、生活に余裕を持って暮らせる階級だったと推察できる。
アルマは食べ始めは作法に則って食べているのだが、せっかちなのか食べ終わる頃にはあまり噛まずに飲み込んでいる。有力者の娘だというが、淑女としての習慣よりも軍人生活に染まりきっているようだ。
ジェレミア、テケリ、ロキ達はマナー通りなのだが、ユリエルたちと比べると見劣りするし、改善の余地は十分にある。
ガウザーは行儀作法以前の問題だが、その食べ方は野生の獣のように綺麗だ。少なくとも食べ残しや、机を汚すということは全くない。
ここまでは、まだよい。まだ我慢できる範疇だ。だというのに、あの二人ときたら……
ベルガーの非難と嘲りの篭った視線がキュカとリチャードに向けられる。
この二人の食べ方はあまりにも酷すぎる。具体的に述べるだけでも私の精神が削られるような、見るに耐えないものだ。
特に王子。よくもまあ、ここまでひどい食べ方が出来ると呆れ返るしかない。
食事の作法は必須事項だというのに、これを誰も注意しなかったとしたら、フォルセナという国の質は私が考える以上に低いようだ。
同じ空間で共に食卓を囲むのが苦痛なほど品性のない食べ方に、ベルガーの神経が悲鳴を上げていく。
なるべく意識しないようにするが、あまりの酷さに逆に目が行く。目を閉ざしても、くちゃくちゃ口を開けて噛みながら喋る音が聞こえてきて、我知らず拳に力が篭る。
「神官殿、食が進んでいないようですが大丈夫ですか?」
口に食べ物を入れたまま喋るリチャードの口から、食べかすや唾が飛び出たのを見て、ベルガーの堪忍袋の緒が音を立てて切れた。
「いい加減にしろ!!」
机を勢い欲叩き立ち上がったベルガーに、皆が何事かと彼を見る。
ベルガーが凄まじい眼光で、不快の原因を睨みつけると、大きく息を吸った。

早口でリチャードとキュカの品格の欠片もない食べ方を激しく糾弾し罵倒するベルガーに、皆がドン引きし、テケリは唖然と豹変した神官を見上げていた。
「キュカ、リチャード」
「神官殿、呼び捨ては……」
「黙りなさい!!」
鋭く言い放ち、リチャードの言葉を完封する。
「食事の作法がなっていない卑しい人間に使う敬称などない」
「しかし、神官殿。王子はフォルセナの王族です。その彼を一神官であるあなたが……」
「ロキ殿。この男が王族というのならば、あの筆舌に尽くせぬほど卑しい食べ方をするのは何故か? 王族ならば礼儀作法の一環として教わっていて当然だろう!」
「フォルセナは……その、あまり食に頓着しない国柄ですから……」
「あえて汚く食べる事で本当に美味しかったと感謝を伝えるのが、フォルセナ流だ」
言葉を濁すロキに対して、悪びれることなくあっけからんと言ったリチャードに、ベルガーのこめかみに青筋が浮き出た。
「申し訳ない!」
ロキは深々と頭を下げたが、隣でリチャードがしらばっくれていることに気づくと慌ててその背を押した。当然鍛えられた騎士のリチャードは動かず、ロキは更に体重をかける。理由もわからずに頭を下げてなるものかと、リチャード腹筋に力を入れて踏ん張った。
しばし、無言の戦いが続く。
その様子を眺めていたベルガーが、もういいと言わんばかりに咳払いをして、今度はキュカに矛先を向けた。
「……キュカ。君の酷い食べ方はどういう経緯で身についたのかね?」
「俺は路地裏育ちだから、上品な食べ方なんてものとは無縁だったんだよ!」
「ああ、なるほど。それならばリチャードとは違ってまだ許せるかもしれない。
でも、ローラントやペダン暮らしの中で、食事作法を身に付け直す機会はあったのではないか?」
「……それは……あれだ、傭兵として暮らしていく中で上品な食べ方なんてしていたら悪目立ちするからだ」
「ほう……。なるほどねえ」

隠し持っていた鞭を取り出し、ギョッとするリチャードとキュカに、嫣然と笑む。
「君達が”人間に相応しい食事作法”を身につけるまで、この私が丁寧に教えて差し上げよう」
「そんな、嫌だ!!」
「神官殿、考え直してくれ!」
抗議する二人を無視して、ベルガーがユリエルとヴァルダを交互に見る。
「お二人とも、それで構わないかね?」
「隊長、頼むから拒否してくれ!」
「ヴァルダ! 今の神官殿はなんかヤバイ!!」
涙目で訴える二人の姿に、ユリエルが笑いザメと言う異名に相応しい笑顔で頷いた。
「勿論、徹底的に躾けなおしてください」
ユリエルの最後通告に石化したキュカを寒々とした思いで見たリチャードが救いの主であるヴァルダを縋るように見る。
「ヴァルダ……。一生のお願いだ。私を、神官殿から助けてくれ」
「リチャード……」
ヴァルダがリチャードの手を握り締める。
「私のために人前に出しても恥ずかしくない食事作法を身につけてください」
「ヴァルダ!?」
リチャードがヴァルダの手を握ろうとする前に、その手を払い除けた。
「それが出来なければ、私はあなたと別れます」
「そんな!!たかが食事作法如きで別れるなんて、大袈裟すぎるぞ!!」
悲鳴にも似た声に、ヴァルダの眉が顰められた。
「たかが……?あなたと食事を共にする度に、私や同席した方々の恥辱がどのようなものだったか……リチャード、あなたにはわからないでしょう? いくら注意しても反省もせず、それどころか開き直ったあなたに、今まで耐えてきたのですよ!!
よい機会ですから、ちゃんとした食事作法を身につけて王族に相応しい立派な人物となって帰ってきてください」
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