未完

聖剣伝説HOM 未完 『お年玉』1

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注意
私的設定があります。











ライトゲイザー月一日
世界的に見れば年が変わるだけの日だが、遠い昔に栄えた東国の習慣が残る国にとっては、一年で最も重要な日だ。それはナバールに限った話ではなくペダンも同様だった。
こんな大事な日に軍隊は動かせない。それがわかっていたからナイトソウルズの面々は、数日前からウェンデルで暫しの休息を楽しみ、くつろいでいた。
「ロジェさん、キュカさん」
目を輝かせて期待たっぷりに見上げるテケリに、いつもその可愛げがあればとロジェは胸中でぼやいた。
主人の影響を受けて、テケリの足元にいるラビまで嬉しそうに跳ね回っている。
ちらりとキュカを見れば、キュカは珍しいという表情でテケリを見ていた。まぁ、ペダンに来てからこの時期に子供と深く接する機会のなかったキュカにはわからないか。
「おう、テケリ。どうした?」
テケリの目線にあわせてしゃがんだキュカの目の前に、テケリが両手を差し出す。
「お年玉をください」
「おとし……なに?」
聞いた事のない単語にキュカがロジェを見上げると、ロジェは肩を竦めて財布から百ルクを出すと、それをテケリの掌に載せる。
「はい、お年玉」
「………もう一声ですよ、ロジェさん!」
小銭を見た瞬間しょぼいものを見るような目になったテケリに、これまで隊長たちから幾ら貰っていたのか?という疑問が湧く。
小説や漫画からの知識だが、庶民のお年玉の相場は百ルクだろう?
すかさず声を上げるテケリに、もう少しあげてもいいかな?と思いもするが、今現在の財布事情がそれを許さなかった。
テケリの肩に手を置き、ゆっくりと頭を振るう。
「テケリ、お前もナイトソウルズが財政難で喘いでいることはよくわかっているだろう。しかも俺達は軍から離脱したから収入はないんだ。その百ルクだって、俺のなけなしの貯金から出した、とても重いお金なんだ」
「……ロジェさん……」
「おい、テケリ。お前いつから金をせびるような悪ガキになったんだ?」
それまで黙って二人の様子を窺っていたキュカが剣呑な空気すら漂わせて、テケリを詰問する。
キュカは幼少期の環境から金銭にとても厳しい。また、なんだかんだ言いつつもテケリを可愛がっているので、その彼が仲間に金をよこせと要求する姿に怒りを覚えるのも、当然といえば当然だ。
「失礼な! お金をせびっているんじゃなくて、お年玉をもらっているのでありますよ!!」
あんまりなキュカの言葉に、テケリが抗議する。
「キュカ。ペダンには正月に親族や保護者達が子供にお金をあげる習慣があってね、それをお年玉と言うんだ」
お年玉の正確な謂れをロジェは知らないし、本来はどうだったのかも知らない。それでも現在のお年玉はさっき言ったとおりだ。
案の定、キュカははぁ?と言って、今度はロジェにつっかかる。
「子供に金を持たせてどうするんだよ?危ないし、なによりちゃんと金銭管理が出来るのか?」
「お年玉を貯金したり、欲しいものを買うための資金に回すかは、それぞれの自由でありますが、僕はちゃんと貯金に回すでありますよ」
「……偉いなテケリ。俺は貰った分、全部使ってたよ」
「ロジェさん……もしかして、財布に余裕がないのってそういうところが原因でありますか?」

「キュカさん、キュカさんもお年玉が何を意味しているか知りましたよね? だからお年玉をください」
「馬鹿言え。さっきも言ったが、俺は子供に金を渡すようないい加減な大人じゃねえよ」
「……………キュカさん。どうしても駄目でありますか?この際気持ちだけでもうれし」
「そんな泣きそうな顔をしていっても駄目なものは駄目だ! お前もそうやって他人に金をたかるようなみっともない真似は」
それ以上は言えなかった。
テケリが渾身の力を篭めてキュカの頬をぶっ叩き、体勢が崩れたところをテケリの足元にいたラビがその胸めがけて頭突きをしたからだ。
「おい、テケリ!やりすきじゃないか?」
流石に見かねたロジェが俯いたテケリを叱ろうとするが、大粒の涙を零す彼に言葉を失う。

「キュカさん!正月になにもくれないなんて、そんなに僕が嫌いでありますか!?僕が無事年を越せたことが、そんなに憎らしいでありますか!?
もう……もう、キュカさんなんて、大嫌いであります!!」
泣きながら扉を突き飛ばす勢いで出て行ったテケリを、ロジェは唖然と見送ることしか出来なかった。
たかがお年玉をもらえなかっただけで、何でそこまで発展するのか。正直ついていけなかったせいでもある。
お年玉とはそんなに重いものだったのか?あるいはテケリの故郷では誕生日もかねていたのか?どちらにせよ、重すぎる。
テケリを追いかけて慰めるべきだというのはわかっているが、正月=お年玉(お金を貰う)と軽く考えていたロジェには、テケリの嘆きを受け止め、それを癒す言葉なんてものは皆目見当がつかない。
テケリの頭が冷えるまで待ってから、行くのがいいかもしれない。
とりあえず、今ロジェが出来る事は、ラビに頭を齧られて血を流しているキュカを助けて、治療することくらいだ。

言い訳
とりあえず、ロジェ・キュカ、ベルガー、ジェレミア、ファルコン・サンドアロー、ユリエルの順で続けていきます。
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