未完

聖剣伝説 未完 『老妖精と旅人達』

 ←聖剣伝説HOM 未完 『お年玉』3 →聖剣伝説HOM 未完 『ロジェの家族』
注意
私的設定のかなり強い話です。
2→FF外伝→3(HOM)という時系列です。
FF外伝のヒロインの血縁を捏造しています。












おやおや、客人か。珍しい、貴重じゃ。こんな場所に流れ込んでくるとは、一体どんな方法で来たんじゃ?ここは現世と幽世の狭間。来ようと思っても来られる場所ではないぞ。
ああ、お前達は現世の存在じゃから、ここに長居をするのはお勧めせんぞ。そりゃあ、腹も減ることもなければ、眠りも必要としない空間じゃが、それはいかん。現世への強い想いがなければ、幽世に引っ張り込まれるからの。
特にそこの若いの、今にも死んでしまいそうな目をしておる。お前みたいな奴が一番危ないんじゃよ。

わしがいつからここにいるのかって?そのことを話せば長くなるぞ。それでも構わんと?
そうか、そうか。いやあ、嬉しいの。長すぎる間独りぼっちじゃったから、こうして話し相手がいるだけで、もう。感無量じゃ。
あれはそう、かれこれ一万と数千年も昔。わしがまだ子供の頃じゃ。当時の事で、わしが鮮烈に覚えているのは、仲間と共に旅をしたことじゃな。あの時は本当に楽しかった。あの日々はとても懐かしく、今でも大切な思い出じゃ。
どのような旅じゃったかと?ふふふ、聞いて驚くなよ。聖剣の勇者がマナの種子を巡る旅じゃ。今の時代で神話と呼ばれるあの旅じゃよ。
聖剣の勇者と二人の従者が、聖剣を手にマナの要塞を破壊して、神獣を封じる。今ではそのように伝わっておるのか?
従者、ねえ。わしとニイちゃんとネエちゃん……ああ、ランディとプリムのことじゃ。わしら三人は主従ではなく、対等な関係だったんじゃよ。わしとプリムが気弱なランディを引っ張る形での。今ではどう伝えられているのか知らんが、わしの知るランディは出会った頃は何とも頼りなくて、本当についていっても大丈夫なのか?と心配になるような人物じゃった。
なに?いやいや、旅を続けるうちにランディも何かが吹っ切れたのか、意思もしっかりしてきて、それに伴い貫禄も出てきたのじゃ。ランディは元々整った顔立ちじゃったから、モテ始めた時には、それまで歯牙にもかけていなかったプリムも焼き餅を妬いての。そんな二人のやり取りに、わしも面白おかしくて笑ったものじゃ。

……そう。あれからもう一万と数千年……。どうりでわしもこんなヨボヨボのじっちゃんになるわけじゃな。
あの時。世界のマナが薄まり、妖精と精霊が現世から弾かれたあの時から、今に至るまで。わしはずっとここで世界の行く末を見守ってきた。何故一人残ったのかって?ランディ達の行く末が気になって、未練たらしくここに踏み留まったのじゃよ。

ランディとプリムが結婚して娘二人が生まれたときは我が事以上に喜んだぞ。そして必ず待ち受ける別れを思えば、辛くなったがの。
何故って、マナの木もなく、神獣もいない状況というのが、どんなに危険かわからんか?マナの木も神獣も存在するだけで膨大なマナを放出する、世界の屋台骨じゃ。世界を支えるマナの供給源が失われたままでは、一切の生命が存在しない死の世界となるんじゃよ。幸いこの時は神獣の残した超高濃度のマナが世界に降り注いだおかげで、滅亡までの猶予は伸びたが、最期を先延ばしにしただけじゃ。
マナの女神?違う違う、マナの木じゃ。神々に性別なぞあるものか。はあ?何を言っておるんじゃ、お前達は。
……オホン、話を戻すぞ。
マナの木はマナの一族の女性にしかなれん。フェアリー?それは後で話す。この時代マナの木になれるのはマナの一族の女性のみだったんじゃ。そしてランディは、マナの一族最後の生き残りじゃ。世界を救うためには、ランディの娘達がマナの木となるしか未来はなかったんじゃよ。
…………ふう。この頃の事を思い出すのは辛いの。それよりも悲しいのは、嘆くのは娘達の末路じゃ。
先にマナの木となった姉はバンドール帝国に汚され、朽ちた。千年の眠りについていた妹はジェマの騎士を導き、帝国を滅ぼして、マナの木となった。
……わしは、叶わぬと知りながらも、娘達にはマナの一族とは関係のない、平穏な生涯を送ってほしかった。大切な友人の子供じゃもの。幸せになってもらいたいと思うのは当然じゃろう。マナの木となっても、せめて天寿を全うして欲しかったが……それも叶わなかった。二人とも、殺されたんじゃ。
娘の後を継いでマナの木となった孫娘。マナの女性の使命として、作られた予備。わしはそんなことをして欲しくなかった。それでも、せめてもの救いは娘なりに、孫娘を愛していたことじゃ。
孫娘が恋人と別れてマナの木となった後、わしはこれからどうなるのか心配した。マナの一族はもうおらず、マナの木だって永遠の命じゃない。寿命があるからの。そんなわしの懸念を孫娘は、マナの種、現代の人間がフェアリーと呼ぶ存在を作る事で解消して、自分亡き後も世界が存続できるようにしたんじゃ。
その後色々あったが……わしは一度だけ怒りに打ち震えたことがある。今から一万年ほど昔、ペダンという国が海底に没していたマナの要塞を蘇らせて、南半球の大陸を灰燼に帰し、神獣を暴れ狂わせた愚行を見たときは、人間に心底絶望した。
ペダンがやったことは、わしらがやってきたこと全てを否定した上で、わしの思い出を消し去ったようなものじゃ。ふふ、わしらの故郷と旅してきた国々の多くが、カッカラとヴァンドールを除いた全てが南半球の国々だったんじゃよ。
ペダンが呼び覚ました神獣によってマナの要塞は今度こそ木っ端微塵となった。それでいい。神々の怒りを買うあんな物この世にあってはならぬからの。しかし、神獣は暴れ狂い止まらん。これでもう世界もお終いかと落胆したとき、闇の血族の魔導師がマナの種子を用いて神獣を封印したんじゃ。
闇の血族といえばわしにとって最も印象深いのはタナトスじゃ。あの禍々しさは今でも忘れられん。そのタナトスと同じ闇の血族が、自らを盾にして人々を救い、命を危険に晒してまで神獣を封じた。そのことを忘れてはならん。
魔導師は神獣を八つに分け、マナの種子と融合させ、マナストーンに変えた。それを見たとき、わしの時代の名残が完全に消え去ったと悟ったよ。
ここで見るのをやめればよかったんじゃが……その後はもう、惰性で見続けておったんじゃよ。それでも中々面白いものを見ることが出来たから、結果的にはここで現世を見続けていて、よかった。

約五千年前のあの時代は、悲惨の一言じゃった。……悪いが、あの時代の事はあまり語りたくないんじゃよ。
ただ、これだけは言える。闇の神獣が暴れたのは、人間の欲深さが招いた自業自得であると。
人間が、尊厳や謙虚を忘れたあの時代は、これまでの文明の人間達よりも心根が最も穢れていた……。
すまんが、これ以上は言わんぞ。

先日、ペダンがまた騒動を起こしたようじゃな。アニスの鏡という別の世界から流れ込んだ代物に操られていたとか。
わしが語るまでもなく、知っておるとな?……うむ、あまり言われたくないのなら、これ以上口にはせんよ。

わしの名前?おいおい、ここまで身の上話を聞いておきながら今更尋ねるのか?なに、その前に長話が始まって聞くに聞けなかったじゃと?ホ、ホホ。老人の話はいつの時代も変わらず長いものじゃよ。
名前かあ……。なんじゃったかの?もうとっくの昔に頭の中から転がり落ちたようじゃ!
ボケたわけではないぞ。今まで独りじゃったから呼ぶ者はおらんし、ここに居続けると、名前が失われると先達も言っておった。彼らはどうしたかって?わしが子供の頃に幽世に行ったきりじゃ。見るべきものは見たから、もう未練はないとそう言い残しての。

いつまで現世を見続けるのかって?さあ、今のところ死ぬまでと考えておるよ。でも、もしかしたら気が変わるかもしれん。
その時になってみないと、わからんよ。
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ  3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ  3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png 未完
もくじ  3kaku_s_L.png 考察もどき
もくじ  3kaku_s_L.png 短文
もくじ  3kaku_s_L.png 裏部屋
  • 【聖剣伝説HOM 未完 『お年玉』3】へ
  • 【聖剣伝説HOM 未完 『ロジェの家族』】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【聖剣伝説HOM 未完 『お年玉』3】へ
  • 【聖剣伝説HOM 未完 『ロジェの家族』】へ