「ドラゴンボール」
DB パラレル

DB パラレル 小説 『兄妹』

 ←加筆修正 →DB 小説 『インタビュー トラ・未トラ・ブラ』
もし、ベジータとブルマが兄妹として育ったら…というとんでもないパラレルのシリーズです。
この話ではベジータは6歳の頃に、サイヤ人としての記憶を失った状態で地球に来て、C,C家に引き取られたという設定です。

この設定で無印の最初のDB集めの旅に関する話を少しずつUPしていく予定です。
ちなみにベジータは自分の記憶を元に戻すのが願いで、ブルマは食べきれない量のイチゴが願いです。
このサイトはベジータ至上主義なので、これはベジータ贔屓の話です。

この話では邪魔者は排除します。(邪魔者に心当たりがあり、尚且つそのキャラが好きだという方は見ない方がいいです。花火になりますから)

此処はそうなっている筈はない!とか、ここはこうだろう!?というのは、なしにしてください。
そもそも、これは完全なパラレルですから















―悟空との出会い―

――初めて会った時、ベジータがオラの生涯において最も大事な存在になると直感した。

目の前の男の腰に巻かれている尻尾に、悟空の視線が向い、徐々に見開かれていく。
それが自分と同じものだとわかると、悟空の顔に喜色が色濃く現れ、目が輝く。
「尻尾だ!!」
声を張り上げて、興奮気味にベジータの元に向う。
尻尾を見ているだけで、祖父である悟飯とは共有したことのない何かが体中を駆け抜ける。
嬉しさのあまり、ベジータの足に抱きつこうとするが、ベジータは悟空の額に手を当て、それ以上近づけないように制する。
悟空が不満に満ちた面持ちで彼を見た後に、ベジータの隣にいるブルマの腰周りを見る。
だが、そこには尻尾らしきものはなかった。それを見て悟空が僅かに落胆する。
「そっちは祖父ちゃんと同じように尻尾がねぇぞ」
まるで仲間外れを見るような眼差しに、ブルマが眉を寄せる。
「普通は尻尾なんて生えてないわよ!! そんな人間なんて私の知る限りベジータとあんただけよ!!」
驚愕の事実に悟空が驚き、確認するようにベジータを見上げる。
「……本当か……?」
「あぁ」
世界最大の都である西の都で暮らしていたが、尻尾の生えた人間は今まで見た事がなかった。
自分が地球人でないとわかっているため、それが当たり前だと思っていたから、悟空を見たときは顔に出さなかったが酷く驚いていた。

ベジータの側から離れずに、興味津々に彼を見つめていた。
祖父から聞かされた話では、自分以外に尻尾の生えた人間はいないという。だから同じように尻尾の生えているベジータを見たときはとても嬉しかった。
―もしかして、オラの父ちゃんか兄ちゃんか?
同じ黒髪黒目で、尻尾が生えている。同じ血が流れているのは間違いない。
自分の家族は祖父だけだが、ベジータなら”家族”として認めてもいいと考えていた。
「おめぇ、オラの父ちゃんか兄ちゃんか?」
予想だにしなかった悟空の言葉にブルマが大笑いし、ベジータが怒り出す。
「貴様!何を言いやがる!!」
断固否定するベジータの姿勢に、おもしろくなくて頬を膨らませる。
「だって、おめぇだってオラと同じ尻尾生えてるじゃねぇか!!」
尻尾を膨らませながら抗議する悟空を、ベジータが腕を組みながら見下ろす。
「俺と貴様とは血縁関係は絶対にない! ガキの頃の記憶はないが、それだけはわかる」
力強く断言する。


―悟空同行後―
悟空が先頭を歩き、彼の案内でベジータ達が宇宙ポッドのある場所に向う。足場が悪い中、悟空とベジータは軽々と歩いているが、ブルマは進むだけでも悪戦苦闘していた。
彼らがこれから向う所は、一度悟飯に連れて来られたことがあったため、悟空はちゃんと場所を覚えていた。
ベジータが周囲を見回した後に悟空を見る。
「おい、本当にこの先にあるんだな?」
「間違いねぇ。オラが拾われたのはこの辺りだ」

竹林の中に巨大なクレーターがあり、その中央には丸型の宇宙ポッドがあった。
地球とは比較にならぬ高度な技術で作られた宇宙船に、ブルマが歓声を上げて駆け寄ると、先程までの疲れを忘れたように興味津々に触ったり、閉ざされたポッドの中を覗き込む。
古びているが、見た限り壊れているところはない。その事に安堵する。
C.Cの研究所に保管されているベジータが乗ってきた宇宙船は、半ば壊れており機能は殆ど停止していたため、データの解析は事実上不可能だった。
―これを元にすれば、今の技術では実現不可能な宇宙船を作れるわ!
科学者として、宇宙ポッドに着いて今後のプランを立てていく。
ベジータの宇宙船は宇宙の物質だからホイポイカプセルが使えなかった。だからこれもこのまま持ち帰る事はできない。なのでこの宇宙船もドラゴンボール探しの旅を終えてから、改めて搬送するしかない。

ベジータがポッドの開閉ボタンを押して、中に入り込む。
慣れた手つきで機械を操作し、ポッドのスクリーンに映し出された文字を読み進めていく。
ブルマが覗き込むようにしてスクリーンを見るが、そこに映し出されている文字は彼女の知らないもので、何が書かれているのか全くわからなかった。
ベジータがポッドのデータを見終わった後に悟空に視線を向ける。
「お前の本名はカカロットといいう名だ」
「カカロット? オラは孫悟空だ!そんな名前じゃねぇ!!」
「それはお前の育ての親が付けた名だ。 カカロットというのはお前の実の親が付けた名前だ」
「実の……親?」
ベジータを見るまで今まで考えた事のなかった存在。
胸の中に何かがこみ上げるが、それが何かは分らなかった。
「……オラ、親なんか知らねぇ。 オラの家族はじっちゃんだけだ。だから、オラは孫悟空だ」


―お風呂in悟空とベジータ―
悟空の首根っこを掴み、風呂場に連れて行く。子猫を運ぶような扱いだが、ベジータがここまで他者に関心を示し、構うことは珍しかった。
微笑ましい姿を見送った後に、ブルマがにんまりと笑う。
「ベジータも結構お兄さんしてるじゃない」
これから面白くなりそうだという期待と、悟空への僅かな嫉妬が僅かに声音に滲み出ていた。

生まれたままの姿で悟空が先に風呂場に入る。
初めて見る品々に、悟空が興味津々で覗き込んだり、触ったり、臭いを嗅いでいく。
ブルマ専用のシャンプーやリンス、ボディソープなどは花の匂いを模している。しかし所詮は人工物であるタメ、嗅覚の優れたベジータと悟空にとっては悪臭としか感じられない。
悟空がそれらの匂いをかいだ後に顔を顰めて、情けない顔でベジータを見上げる。
―こんなの臭いの使いたくない。
眼差しを言葉に直せばそんなところか。
「安心しろ。それはブルマのであって、俺達は使わん」
民族の特性上、嗅覚が非常に優れているために、不快に思わずに使えるものは限られている。
このシャンプーも色々探し回って、漸く見つけたものだ。
同族ならば嗅覚が優れているため、彼らの基準で鼻が曲がるほど臭いの強いものは使えない。だから、同じシャンプーを使うしかない。

頭と体を洗い終えた二人が、風呂の中に浸かっている。
尻尾を腰に巻いていない無防備すぎる悟空の様子に、ベジータが呆れたように溜息を漏らす。
「カカロット。尻尾は鍛えて、常に腰に巻きつけておけ」
「え?」
「尻尾に圧力がかかると力が抜けるのは、貴様にも心当たりがあるだろ?」
「ああ、昔それで恐竜に食われかけたことがあったぞ。 …死んだじっちゃんが助けてくれたんだけどな」
死んだ祖父を思い、声に悲しみを滲ませながら答える。
「分ってるなら尻尾は厳重に鍛えておけ。 戦ってる最中に尻尾を掴まれて、力が抜けて戦えなくなるような馬鹿には絶対になるな」
真剣そのものの鋭い眼差しで悟空を見据える。悟空が力強く頷く。
「わかった。オラ、ちゃんと尻尾を鍛える!」
「鍛えるだけでは駄目だ。切られないように腰に巻いておけ。 尻尾は…」
次の言葉を続けようとしたが、その先は霞みのように霞み、頭の中を飛散して形になる前に完全に消え去った。
突然黙り込んだベジータを、悟空が心配そうに見つめる。
「……ベジータ。どうしたんだ?」
「…………」
黙ったままの彼に、悟空が物言いたげに彼の顔を見上げる。
「ベジータ?」
「……何でもない」
なんとも言えない空気を察したのか、悟空も黙り込む。


―ウーロン同行―
逃げ出す気満々のウーロンを前にして、ベジータが腕を組み彼を見下ろす。険しい眼差しで睨まれ、ウーロンが腰を抜かす。
「こんなものでも非常食になる」
――非常食!?
とんでもない発言にウーロンがギョッとする。すっかり怯えきった彼を愉快そうに見下ろす。
「豚は生きたまま焼くとうまいらしいな」
「えぇー!!嫌よ、豚臭いのは!」
「なら俺が捌いて、お好み焼きの原料にしてやろう。 お前に任せたら悲惨な目に遭うからな」
ブルマが頬を膨らませるが、そっぽ向く。
「……まぁ、あんたの作るお好み焼きは本当においしいけど……」
あまり手間暇かけて作っているように見えないのに、何であそこまで美味しく出来るのか。それは彼女が常々不思議に思っていることの一つだ。
悟空が興味津々で二人の顔を見上げる。
「オコノミヤキって何だ? それ、うめぇのか?」
「材料と作る人間にもよる」
悟空が涎を垂らし、期待に満ちた目でウーロンを見る。獲物を狙う眼差しにウーロンが恐怖を覚える。
―こいつ、俺の事を本当に食うつもりか!?
一刻も早く逃げ出すべきだ。
その考えが彼の脳内を占領する。直後凍えるような殺気を覚えてベジータをゆっくりと見上げる。
短時間の間に恐怖の対象として彼の心に根強く浸透した男は、ウーロンの浅はかな考えを読み取っているのか冷酷な眼差しを向けていた。
その目で見られているだけで、恐怖で全身が青褪めていく。
その顔を見ていられずに、必死の形相を浮かべ勢いよく土下座する。
「お願いですから、一緒に行くのだけは勘弁してください!!」
「駄目だ」
即答で返された言葉に、ウーロンが絶望に満ちた面持ちになる。
ふと、危ない視線を感じて、そちらを横目で見て、別の意味で恐怖を覚えた。
悟空が、ウーロンを見つめていた。その目は完全に食料として彼を見ている目だった。
背筋に冷たいものが走り、体を震わせる。
ベジータに救いを求める眼差しを向けた後に、悟空を横目で見る。
「一緒に行ったら、マジで食われそうなんですけど…」
ベジータがウーロンの視線の先を見るが、何事もなかったかのように視線を目の前にいる彼に戻す。
「それは貴様の身の振り方次第だろう?」
その言葉に、意識が遠のいていく思いを抱いた。

「あんた。今度逃げ出そうとしたら、本当にお好み焼きの材料にするわよ!」
「決して逃げませんから、許してください!!」
ウーロンが地面に深々と頭をつけ、土下座して何度も謝る。
悟空が残念そうにウーロンを眺める。
「オラ…ベジータのお好み焼きを食ってみたい」
「安心しろ」
ベジータがウーロンの元まで行き、腕を組みながら彼を見下ろす。
「こいつが僅かでも妙な真似をすれば、すぐにでも食わせてやる」
「本当か!?」
悟空が目を輝かせ、ウーロンの元に行きしゃがみこんで彼の目線に合わせる。
ふとウーロンが顔を上げると、キラキラと輝いた目と鉢合わせた。
「おめぇ、いつでも悪さしていいぞ」
期待に満ちた声音に、ウーロンの顔が青褪め、額に冷や汗が流れる。
「…………いえ、悪さなんて本当に致しませんから……」
不満そうに眉を顰め、口を尖らせた悟空の姿に、身を強張らせる。
―こりゃ、妙な真似をしたら即殺されて…食われる!!
その光景が彼の中で鮮明に再生されていく。それはまるで目の前で繰り広げられているかのようにリアルティ溢れるものだった。
――もう、逃げるという考えは消えうせた――


―カプセル紛失―
カプセルケースをなくして大騒ぎするブルマの姿に、ベジータが呆れて溜息を漏らす。
「安心しろ、まだ俺のがある」
ベジータがポケットから自分のカプセルケースを取り出し、それをブルマに見せる。途端、彼女の目が輝きを取り戻して、勢いよくベジータに抱きつく。
「さっすがベジータ!!頼りになるわ!!」
「こら!離れろ!!」
ベジータが顔を赤くして、ブルマを引き剥がそうとする。その寸前頬にキスされて、顔を赤らめて硬直した。

カプセルハウスの中は質素極まりない内装で、生活に必要最低限の設備と簡易の重力室しかなかった。
ブルマが室内を見回して、深く息を漏らす。
「本当に、いつ見ても物がおいてないわねぇ……」
「必要最低限の物しか置いてないからな」
「次の町に着いたら何かインテリアを買おうか? これじゃつまらないわよ」
彼女の台詞に、ベジータが眉間に皺を寄せる。
しかしこの手の話題では幾ら反論したところで結局聞き入れない事は経験上わかっていた。
彼に残された道は、ブルマの暴走を極力防ぐことだけだ。
「……いいだろう。 但し、俺が選ぶぞ」
「えー!!あんたが?」
「お前のセンスで買っていたら、住めなくなる」
「ちょっと、それどういう意味よ!!」
「言葉通りの意味だ」

「男と女は仲良くするもんだって、じっちゃんが言ってたぞ」
「悟空。あの二人は十分仲がいいぜ。 あれは痴話喧嘩っていうんだ」
物を知らない悟空相手に自慢げに胸を張って答える。しかし悟空は大した関心を寄せることはなかった。
殺気を感じて、そちらを向くとベジータとブルマが顔を真っ赤にしてウーロンを睨みつけていた。

リビングにある大きな机の上に様々な書き込みのある地図が幾枚も置かれている。
ベジータとブルマがこれからの旅についてレーダー反応と地図を照らし合わせながら相談していた。
それは真剣そのものので、他人の入る隙間すらなかった。
先程の発言によって殴られ、叩かれて頬を腫れ上がらせたウーロンが、重力室から出てきたばかりの悟空に愚痴る。
「…なぁ、俺とお前ってどう見ても邪魔者じゃねぇ?」
「オラが?オラ、ベジータとブルマの邪魔はしてねぇぞ。 重力室だってベジータが使っていいって言ったんだぞ」
「いや、そうじゃなくてだな……いるだけで邪魔…」
その先を続ける事はできなかった。
ベジータの視線を感じ取り、恐怖で全身が固まる。ガチガチの状態のままぎこちなく振り返ると、腕を組んだ姿のベジータがウーロンを冷たく見下ろしていた。
今すぐ死ねという、殺気を帯びたオーラを感じ取り、ウーロンが石化したのを見届けて、悟空に顔を向ける。
「カカロット。修行の後で疲れただろう。 今すぐお好み焼きを作ってやる」
「本当か!?やったぁ!!オラ、すげぇ腹減ってたんだ!!」
当然のごとく悟空がウーロンの腕を掴み、引っ張る。その拍子に正気に戻ったウーロンが、悟空の手を必死に振り払い、ベジータに深々と土下座する。
「許してください!!!もう貴方様の気に障るような言動は、一切致しません!!」


―ヤムチャ花火―
その男の姿を見た瞬間、今までにない甘い衝撃がハイエナの全身を貫いた。
小柄で童顔、色白の肌。そして全身から漂う、只ならぬ色香。それらを目の当たりにして、荒野のハイエナが新しい世界の扉を開いた瞬間だった。
前々から女が駄目なら、いっその事男でもいいと考えていたが、理性がそれを拒んでいた。
だが、ベジータを前にした瞬間、最期の理性が一瞬で吹っ飛んだ。
―もう男でもいいじゃないか!というか男同士の方がいいに決まってる!!女なんかクソ食らえだ!!
結論を出すと、その行動は迅速だった。
一瞬で服を脱ぎ捨て、欲に塗れた顔で全裸のままベジータに飛び掛っていく。
「一生ヤラせてくれぇー!!!!」
ベジータが問答無用でヤムチャの腕を掴み、宙に投げてその体目掛けて気弾を放つ。気弾は寸分の狂いなく命中し、爆発させて粉々にした。それでも完全な花火にするには威力が弱かったのか、地と肉片が地面に降り注ぐ。
「チッ、失敗だ。 …汚い花火だぜ」
ベジータが忌々しそうに吐き捨てると、悟空が羨望に満ちた眼差しで彼を見つめる。
「すっげぇ!!ベジータって本当に強ぇんだな!!」
「貴様も俺と同族だというなら、あんな雑魚に手間取るな」
厳しい言葉に悟空が唇を尖らせる
「ベジータには雑魚だけど、オラには強かったんだよぅ」
ベジータ達の会話を尻目に、ウーロンが主を亡くして呆然としているプーアルの元に向う。
「…おい、お前。大丈夫か? このままで本当にいいのか?」
彼らがベジータに勝つことなど不可能なのだが、それでも目の前であんな形で主を亡くしたプーアルに深く同情していた。
ウーロンの問いかけに我を取り戻したプーアルは、彼の予想とは裏腹に平然とした面持ちを浮かべていた。
「おい…プーアル?」
悲しみのあまりおかしくなったのか?と正気を疑ってしまう。
「大丈夫だよ、ウーロン。 次はもっとマシな主人を探すよ」
「え?」
我ながら間抜けな声だと思う。でもそれだけプーアルの言葉は彼の予想とは大きくかけ離れていた。
「女の前に出られないからって、男に走るようじゃ、僕の主人としては終わりだよ」
恥も外聞も投げ捨て、裸でベジータに襲い掛かろうとした姿を見た瞬間、プーアルは主人としてのヤムチャを完全に見限った。
先程の彼の主人だった男の姿を思い出し、ウーロンが別の意味で同情する。

ベジータが肉片と血溜まりを一瞥すると、気弾を放つ。地面が抉れ、惨状の痕跡が跡形もなく消えた。
ブルマが大きく欠伸をしながら、彼らの元に向う。
「なんか煩かったけど、何かあった?」
「大した事じゃない」
悟空が興奮しきった面持ちで、ベジータとブルマの間に割り込み、彼女を見つめる。
「ブルマ!ベジータって本当に強ぇんだ!! オラ、ベジータみたいに強くなりてぇ!!」


―フライパン山―
チチがブルマに亀千人が彼女の胸を触りたがっている事を話す。
ブルマが抗議の声を上げた直後、ベジータが亀仙人の背後に立つ。
「ホゥ…面白いことを言うジジィだぜ」
亀千人の全身が硬直し、ぎこちない動きで恐る恐る振り返り…一瞬、恐怖で心臓が止まった。
全身を深々と突き刺し、人を殺せるほどの殺気を一身に浴びて、意識が遠のく思いがした。
半ば意識が朦朧としている間にも、殺気だけで今すぐ死ねという彼の意図が痛すぎるほど伝わってくる。
―…儂、今ここで死ぬ……。 もっと、ギャルと沢山遊びたかった……
「ジジィ。長く生きているんだってな? なら、もう十分だろう?」
ベジータが冷酷な笑みを浮かべ、掌に気を集めていく。
気弾を放とうとした瞬間、周囲の凍りつき、固まった空気を諸共せずに悟空が亀仙人の元に近付く。
「じっちゃん。 さっきのあれ、どうやったんだ?」
「よ、よしっ!!今から儂が、手取り足取り丁寧に教えて進ぜよう!!」
突如現れた命綱を手放してなるものかと、亀仙人が胸を張り悟空と向き合う。
ベジータが呆れた眼差しで悟空を見る。
「カカロット。貴様、あんな事もできないのか?」
悟空が目を丸くした後、亀仙人とベジータを交互に見て、ベジータを一心に見つめる。
「……ベジータ。オラと修行してくれ」
「それ以前の問題だ」


―ウサギ団逃亡―
ウサギ団長によってブルマが人参にさせられる直前、今まで別の場所にいたベジータがそれを偶然見かける。
―クソッ、間に合わん!!
ふと、彼のすぐ側にいた悟空の姿が目に入る。
「……」
何の躊躇いもない、流れるような動作でベジータが悟空の頭を掴むと、キョトンと目を丸くしている悟空の目をしっかりと見つめる。
「カカロット、安心しろ。すぐ元に戻してやる」
「ほへ?」
勢いよく悟空をウサギ団長とブルマの間、目掛けて投げ飛ばす。

ウサギ団長が人参になった悟空を掴み、それをベジータ達によく見えるように掲げてみせる。
「この人参がどうなってもいいんですか?」
不敵な笑みを浮かべた団長を、つまらないものを見る目つきで見ていたベジータが彼らの元に歩み寄る。
その様は威風堂々としており、歩く姿だけでもウサギ団達をたじろがせた。
「ちょっと!!それ以上近付いたらこの人参を…!!」
言葉を続けようとしたが、彼の射るような眼差しに睨まれて黙り込む。
ベジータが腕を組み、倣岸とウサギ団を見下ろす。
「貴様ら。花火になりたくなければ、さっさとその人参を元に戻せ」
彼から漂うオーラに、ウサギ団達が怯えて、後ずさる。
「は…花火?」
団長の震えた声に、ベジータが酷薄な笑みを浮かべる。
「宙に投げた体を気弾で粉々に吹き飛ばすことだ。 威力が弱ければ肉片が地面に落ちて見苦しい有様になるが…。なに、安心しろ。ここは街中だから、ちゃんとした花火にしてやる」
言い終えると、見せしめとばかりに団員の一人の腕を掴もうと腕を伸ばす。
――死神が、今目の前に見えた。
「「「ヒイィィーーー!!!」」」
腰を抜かして、身の毛もよだつ悲鳴を上げ、全身を震わせながら団長が手を何回か叩く。
悟空が元の姿に戻ったのを確認してから、ウサギ団が勢いよく立ち上がる。
「「「で、では…私達は月へ避難いたしますーーー!!!!」」」
絶叫を上げ、必死の形相で脇目を振らずに逃げ去るその姿に、ベジータが舌打ちをする。
「チッ、どいつもこいつも張り合いのない連中ばかりだ」

「孫君の本名ってカカロットっていうのよね?」
「あぁ、そうだ」
「オラ、孫悟空だぞ」
「カカロットってキャロットに似てない?」
「……それがどうした?」
「つまりあれだろ? キャロットって人参のことだから、悟空は人参がピッタリだってことだ」
へらへら笑うウーロンを、悟空がムッとした面持ちで睨む。
「おめぇ、そんな事言うと丸焼きにして食っちまうぞ!」
真剣そのものの目に、ウーロンがギョッと悟空を見る。
ベジータやブルマがことあるごとに、お好み焼きの原料にするなど明らかに食料という言動をするため、二人の影響を受けた悟空はウーロンを食料扱いしていた。
数日前悟空によって鍋に突っ込まれかけた事は鮮明に残っている。あの後の記憶は殆どないが、こうして生きているから誰かが止めてくれたというのはわかる。
真相はベジータが料理が駄目になると、悟空を叱ったので助かったのだが…
―……俺、この旅が終わる前に確実に食われる……
誰とは言わないが、最も可能性があるのは悟空だ。現に鍋だの、丸焼きだの行動に移しているのだから。
ベジータとブルマのは、半分脅しに近い。それえもベジータが言うと現実味を帯びる上に、何故かわからないが……恐ろしすぎた。


(カカロット=キャロット=人参。つまりカカロット=人参だから、人参になっているのがお似合いだってウーロンは言いたかったんだよ)


―神龍への願い―
突如辺りが闇に包まれ、苦労の末集めたドラゴンボールから神龍が現れる。
ベジータが唖然と神龍の姿を見上げる。
―これが、神龍…!
ブルマからドラゴンボールの存在を聞いたときは、眉唾物だとしか思わなかった。それでもドラゴンボールを集めに行くという彼女を放っておく事も出来ずに旅に同行した。
その間に同族と出会えたのは幸いだが、「何でも願いを叶える」というドラゴンボールの存在自体今の今まで疑っていた。
だが今神龍の姿を見て、疑いが全て吹き飛んだ。
―これで、本当に俺の記憶が蘇る!
一刻も早く記憶を取り戻さなければならないと言う焦りが、常に燻っていた。
これで漸く記憶を取り戻せる。
緊張のあまりゴクリと唾を飲む。
「俺の記憶を、元に…」
言葉を続けようとしたその隙に、悟空が勢いよく割り込み、神龍を見上げる。
「戻してくれ!!」
「腹いっぱいのお好み焼きが食いてぇ!!」
悟空が腹の底から叫ぶ。それはベジータの声を掻き消すほどの大音量だった。
ウーロンと会ってから、旨いお好み焼きが食べられるとずっと期待していたのに、ベジータは一向に作ってくれないし、悟空が焚き付けてもそれを受け流していた。
―オラだって、ベジータの作るお好み焼きが食べたいのに、ベジータは作ってくれないから、全部ベジータが悪いんだ。
今までの不満が積み重なり、この瞬間に爆発した。
神龍が悟空を見下ろす。
「その願い、叶えた」
神龍の姿が消えると同時に、悟空の目の前に巨大なお好み焼きが何枚も落ちてくる。待ちに待った瞬間に、悟空が目を輝かせる。
「これが、お好み焼きかぁ!!!」
喜び勇んで、お好み焼きの元に駆け寄り、美味しそうに食べていく。
その姿に今まで固まっていたベジータが、恐ろしい形相を浮かべ悟空の元に行く。

渾身の力を込めて、痛みのあまり泣き喚く悟空の尻を何度も何度も叩く。
その光景に唖然としていたピラフ達だったが、ピラフが咳払いをして彼らの元に向う。
「おい、貴様ら!大人しく…」
ベジータが振り返る。
願いを横取りされ怒り狂った恐ろしい形相をと、彼の背後に立ち上る目に見えるほど怒りのオーラを前に彼らが恐怖で全身が固まる。ピラフが失禁する中、ベジータがピラフ達を睨み、低い声音を出す。
「邪魔をすれば、殺す」
「「「はい!!邪魔をしません!!」」」
ピラフ達が声を震わせながらも、三人見事に揃える。
その後、ベジータは悟空が失神するまで彼の尻を本気で叩きつけていた。


(ウーロンはすっかりベジータ達に去勢されているため、抜け駆けなんて考えません)


―大猿、大暴れ―
ベジータがブルマを庇いながら空を飛び、大猿になって暴れまくっている悟空を忌々しそうに見下ろす。
「あのバカロットめ…!理性を失って暴れるのは赤ん坊のときだぞ!! もう12にもなって、それも出来んのか、あいつは…!!」
そう、無意識に呟いていた。

ベジータが気弾を放ち、悟空の尻尾を焼き落とす。
尻尾が彼の身体から離れると同時に、大猿から小さな悟空の姿へと変貌を遂げていく。
気を失った悟空をベジータ達が見下ろす。ウーロンが恐る恐る見下ろしながら
「なんなんだ、こいつ…。宇宙人じゃねえのか?」
満月を見れば大猿になるような者達など聞いた事もない。
それにあまり意識していなかったが、獣人でもないのに尻尾が生えている事も異様だ。
「あ、そういえばあんたは知らなかったんだっけ」
「何が?」
「ベジータと孫君が宇宙人だってこと」
取っておきの秘密を打ち明けるように、ブルマがにんまり笑いながら告げた。
衝撃の告白にウーロンが硬直して、冷や汗を流す。
―う、宇宙人!? 本当にいたのか!?
冗談交じりに口にしただけなのに、まさかそれが本当のことだとは思わなかった。
―……こいつらのことを研究所か何かに売れば、一生遊べるだけの金が手に入るよな…?
旅の間、自分の命を脅かし続けてきた彼らが、どんな目に遭おうと知ったことじゃない。
よし、と心の中で気合の声を上げたとき、背筋が凍りつくような感覚が走る。
―だ、誰だ!?
これはベジータや悟空の気配ではない。
一体誰なのかと周囲を見回すと、見るものを凍らせるほど冷酷な眼差しをしたブルマと目が合う。
絶対零度の視線に、ウーロンが恐怖に戦いて全身が強張る。
「もしベジータ達の事を変なところにばらそうとしたら……。 どうなるか、よーくわかるわよねぇ?」
ブルマの脅しに、ウーロンは何度も頷く。
いくら多額の金銭を手に入れられる絶好の機会だとしても……せっかく助かった命は大事にしたい。
旅の間、彼らの機嫌次第で生命の危機に脅かされてきたウーロンは、金よりも平穏と命を優先させるという考えが骨の髄にまで浸透していた。

「ね、ベジータ。あんたさっき記憶が戻ってたんじゃない?」
「何のことだ?」
「だって孫君が大猿になった時に、理性を失って暴れるのは赤ん坊のときだけだぞって言っててじゃない?ってことは、何か思い出したんでしょう?」
あの状況下で彼でさえ気付かないうちに零していた言葉を覚えていた、その精神力に彼が感心して彼女を見つめる。
悟空の体が僅かに身動ぎ、ゆっくりと目を開ける。

「なぁ、ベジータ。オラ、おめぇと一緒に修行して強くなりたい」
「嫌だ、断る」
「えー!何でだよ!! ケチんぼう!!」
無神経な悟空の言葉に、ベジータの額に青筋が立つ。
「貴様、何をしたのか覚えてないのか!?」
「何を…? オラ、ベジータの気に障ることしたか?」
言い終えた直後、ベジータが悟空の腹を蹴飛ばす。
体をくの字にさせて吹き飛ばされた悟空に、ベジータが怒りの声を上げる。
「消えろ!! 二度と、貴様の面など見たくない!!」
旅の間散々振り回され、願いを横取りされた怨みは根強い。
殺さないのは、同族へのせめてもの情けだった。




言い訳
この時点で彼に記憶を取り戻されたら困るから、こういうオチになりました。
ベジータに拒絶された悟空は亀仙人の所に行くという流れです。


この話だと彼らが二十歳頃にはトランクスの兄姉が出来てもおかしくないですよね。

2011/3/21 小説へ移行。
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